トランスの新星・TDJが待望のデビューAL『TDJ』をリリース ── ハイパーポップの女王ハンナ・ダイアモンド、ダニー・L・ハール、リアル・ライズら豪華ゲスト陣が参加

2025年7月10日

モントリオールを拠点に活動するマルチアーティスト、TDJが、自身の名を冠したデビュー・アルバム『TDJ』をリリースした。全11曲からなる本作には、ハンナ・ダイアモンドやダニー・L・ハールといったハイパーポップ界の重鎮をはじめ、UKレイヴの語り部リアル・ライズ、クララ・キメラらが参加。レーベルはCollection Disque Durs / All Night Longよりリリースされている。

ここ数週間、Billboard、Resident Advisor、Stereogum、Line of Best Fit、DJ Mag、Mixmagなど海外メディアから熱い注目を浴びているTDJは、いままさに“感情と快楽の交差点”ともいえるエモーショナル・ダンス・ミュージックの最前線に立つ存在である。

今回のアルバムで彼女が描き出すのは、トランスを現代的にアップデートした「ハイパーモダンな陶酔体験」。インディーポップの感性をまとい、ひりひりとした“胸の奥の蝶々”を刺激するようなサウンドが、リスナーの琴線に触れる。

「ツアーとツアーの合間に、アドレナリンが落ち着いた瞬間を書き留めたの。今回は、しっかり時間をかけて制作したかった」と本人が語るように、本作はカタルシスを生むための一枚である。前作に比べてポップで親密な仕上がりとなっており、テンポを落とした楽曲が多く、余白と呼吸を大切にした新たなフェーズに突入している。

なかでも注目すべきは、ダニー・L・ハールとの共作「Shoreline」。ビームのように光り輝くシンセと128bpmの脈打つリズムが心を揺さぶる、ほろ苦くも美しいアンセムである。「いつかわかる／私を手放したこと／岸まで泳ぎ着くために」と歌われるように、痛みや愛、罪悪感のような重さから解放される瞬間を描いた楽曲となっている。

映像と音が融合するプロジェクト《SPF INFINI》がPitchforkから「壮大なセットピース」と評されたように、TDJはアンダーグラウンドの信頼と、フェスを揺るがすエネルギーの両方を併せ持つ希有な存在である。今年は〈EDC Las Vegas〉をはじめとする大型フェスへの出演や、世界各地でのツアーも予定されている。