「音を視る」試み──歩く人×安納想が描く、再構築された『ブルー』

電子音と環境音を駆使した作風で注目されるトラックメイカー「歩く人」と、エルスウェア紀行のボーカルでありマルチクリエイターの安納想がタッグを組んだ。今回リリースされたのは、フジファブリックの名曲「ブルー」を再構築した作品『ブルー -集音歌詞 ver- (feat.安納想)』。音楽、映像、そしてコンセプトのすべてにおいて、既存の枠を超えた新しい表現に挑戦している。

プロジェクトのコンセプトは「集音歌詞」。歌詞に描かれた情景をフィールドレコーディングによって“音”で再現し、その体験を視覚・聴覚の両面から可視化する試みだ。今回は「集音歌詞」シリーズの第二弾作品。音楽をただ聴くのではなく、「どこでどんな音が使われているか」を想像しながら体験するという、新しい楽しみ方が提示されている。

リメイクの中心を担ったのは「歩く人」。海の波、包丁の音、水滴の落下、水道、煮込み音など、生活の中にある音を織り交ぜて、原曲とはまったく異なる空気感を作り上げた。アレンジの透明感とノスタルジーに満ちたサウンドは、単なるカバーではなく“新たな一曲”として聴くにふさわしい完成度。

そして、そのサウンドに儚さと温度を加えたのが安納想のボーカル。ゴスペルやブラックミュージックをルーツに持ち、劇団・クワイアで培った表現力を活かした歌声が、サウンドに深みを与えている。エルスウェア紀行としての活動とはまた異なる角度から、安納想の才能を感じられる仕上がりになっている。

映像面でも強力な布陣が揃った。MVは映像作家・永田俊がディレクションを担当。アートディレクションは柴谷麻以、プロデュースは「スポンジ バンッ バンッ」の安藤コウが手がけた。少し不思議で、どこか懐かしく、静かに心を揺さぶる映像が、楽曲の世界観をより立体的に拡張している。

音源の配信は2025年6月18日(水)よりスタートしている。URLはこちら:https://orcd.co/blue_samplyric
Music Videoも同日公開。作品のコンセプトである“音で情景を描く”という視点から、映像と音の両面で作品を体感できる。

本プロジェクトは、安藤コウが率いる「スポンジ バンッ バンッ」が企画・プロデュースするもので、企業や個人の価値や特徴を“象徴音”で表現するクリエイティブ集団ならではのアプローチが光る。「集音歌詞」シリーズは、第一弾『日本全国酒飲み音頭』に続き、今後も継続的に展開される予定とのこと。

既存の名曲を再構築するというだけではない。「聴く」を再定義し、音楽に対する感覚そのものをアップデートしていく試み。アーティスト、クリエイター、リスナーすべてにとって、刺激的な実験となるだろう。

配信URL

『ブルー -集音歌詞 ver- (feat.安納想)』
https://orcd.co/blue_samplyric

Instagram(集音歌詞プロジェクト)
https://www.instagram.com/samplyric/

MVクレジット
Director:永田俊(WHITE CO., LTD.)
Art Director / Designer:柴谷麻以
Producer:安藤コウ(スポンジ バンッ バンッ)

続報や今後の作品情報は、各アーティストの公式HP・SNSにて随時公開予定。音楽表現の可能性を広げるこのプロジェクトの動きから、今後も目が離せない。

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