[レポート]日曜の午後に、そっと差し込む音楽たち──XXI LIVE Sunday Free Jam

2025年6月8日(日)@渋谷XXI

カフェ営業と同時進行で楽しめる、渋谷XXIのフリーライブ〈Sunday Free Jam〉。音楽が“ついで”じゃなく、“いつのまにか溶け込んでる” ── そんな不思議な空気が流れる午後だった。今回の出演者は全員女性シンガー。ジャンルもキャラもばらばらだけど、それぞれの音楽がちゃんと自分の足で立っていて、どれも魅力的だった。(3番手のシアさんは体調不良のため欠席)

① わたさくJJ(12:30〜13:00)

この日のトップバッターは、アコースティックギターと日常の風景を持ってやってきた、わたさくJJ。

1曲目「家に帰ろう」は、ミドルテンポでじんわり染みる曲。ゆるやかな午後にぴったりで、まるでそのまま日常の中に音楽が降ってきたような感覚に。続く「in the room」では、お酒が進みそうな揺れるテンポと、少し気だるさのある声が心地いい。

この日ラストに演奏したのは「藍色の刻」。夜明けの空の色がにじむような、静かで美しい一曲。1曲目からラストまで、まるで一日を旅したようなライブだった。

ちなみに彼女はDJとしても活躍中。まさに音楽をまとって生きてる人。

わたさくJJ 各種リンク

② 宇野咲耶(13:20〜13:50)

お次は、歌と言葉で物語を紡ぐ宇野咲耶。1曲目の「繋ぐ物語」は三拍子のやさしいリズムと、童話のような歌詞が印象的。どこか懐かしい、でも今の彼女にしか歌えない世界。

2曲目「ただ女の子」は、女の子の日常やあるあるがぎゅっと詰まったかわいいラブソング。けれど、ファルセット気味の繊細な声がのると、なんだか少し切なくなるのが不思議。

そこから「狼煙」へ。声がまるで狼の遠吠えみたいに響く。この曲、彼女のルーツとも言える民族音楽のような節回しを感じられる一曲、サブスクで配信中のバンドサウンドにも注目したい。

命、そして出会いの尊さを唄う「生き物」、ラスト会場が手拍子で包まれた「ミライのキオク」まで、一曲ごとに風景が変わっていくようなステージだった。

宇野咲耶 各種リンク

③ 森あんぱん(15:00〜15:30)

ラストを飾ったのは、ギター歴わずか2年(!)ながら、すでにしっかり自分の色を出している森あんぱん。

「beyond」では、「進め!」というフレーズを観客も一緒に歌っていて、まるで応援歌のよう。彼女自身がこの曲に背中を押されているのかもしれない。そんなまっすぐなエネルギーが心に残る。

ラストは「アスタリスク」。生きていく中の葛藤やもどかしさを歌声に乗せ、ちゃんと自分の足で立とうとしている姿勢が伝わってきた。そっと手を差し伸べてくれるようなラストだった。確かに心に残る余韻を残して、〈Sunday Free Jam〉は静かに幕を下ろした。

森あんぱん 各種リンク

日曜の午後、カフェの空間でふと出会えた音楽たち。それぞれの声、それぞれの想いが、ふわっと広がって、ちゃんと残る。
〈Sunday Free Jam〉は、ただの「フリーライブ」じゃない。音楽に出会うきっかけの場であり、優しい非日常だった。

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