“橋を渡る音楽”──Miyoshi DOGGsが仕掛ける、地方創生の新たな形

徳島県三好市。日本三大秘境のひとつ・祖谷地方にある「かずら橋」をテーマにした新曲『Kazura Bridge』が、5月30日に公開された。手がけたのは、同市の地方創生を目的に結成されたHIPHOPグループ『Miyoshi DOGGs』。この楽曲は、地域のシンボルである「かずら橋」を題材に、観光・歴史・文化を音楽で表現するという挑戦的なプロジェクトの第3弾だ。

『Kazura Bridge』はYouTube、Instagram、TikTokにて同日より公開中。

“かずら橋”の魅力をラップで翻訳する

「かずら橋」は、植物のシラクチカズラを編み込んで作られた吊り橋で、長さ45m、高さ14m。徳島県三好市の祖谷地方に位置し、日本三大秘境に数えられると同時に、国の重要有形民俗文化財にも指定されている。

この橋に込められた歴史やスリル、そして地元の誇りを、Miyoshi DOGGsはHIPHOPのビートとリリックで可視化した。今回の楽曲では、TARO SOULが引き続き楽曲制作を担当。Fergieの「London Bridge」を大胆にビートジャックし、地域愛に満ちたラップを乗せている。

リリックにはユーモアも交えられており、「また職員漁ってる川底 観光客落としちゃったかな?スマホを」といった軽妙なラインから、「重要有形民俗文化財 君も一度渡るっきゃない」といった誇りある表現まで、聴きどころは多い。

さらに、英語のフレーズ「か かずら橋 You wanna go across?」を取り入れることで、海外リスナーへの訴求も意識。中毒性のあるメロディとビートが、観光地の存在をグローバルに押し上げる。

MVに映る“三好のリアル”

ミュージックビデオはすべて三好市内で撮影。地元飲食店関係者や「SAMURAI TOURING」メンバーが出演し、地域の人々が“演者”として積極的に関わっている点も特徴だ。映像は単なる観光プロモーションではなく、三好市という地域が持つ空気感や人の温度をそのままパッケージしている。

地方創生は“参加型”へ

『Miyoshi DOGGs』は、音楽を通じて地域と外部をつなぐ“共創型”のプロジェクトだ。地元住民、企業、アーティストが一体となって制作するこのシリーズは、従来の地域活性とは一線を画す。情報発信の主役はあくまで“地元”。「言っても伝わらないなら、歌ってしまおう」という精神が貫かれている。

このプロジェクトは全6作のリリースを予定しており、すでに2作を公開済み。

過去作紹介:

第1弾:『Miyoshi Love』(2025年2月16日公開)
イントロダクション的な位置づけで、地元あるあるや自虐ネタをユーモラスにリリック化。ノスタルジックなサウンドが印象的な楽曲。
▶︎ https://youtu.be/gAl0b5cNPno?feature=shared

第2弾:『Miyoshi After All』(2025年4月15日公開)
Jersey Clubを基調に、若者の等身大の暮らしを描く。退屈と愛着のあいだで揺れる感情を繊細に表現。
▶︎ https://youtu.be/JuK8PV9vEX8?feature=shared

次なる展開にも注目

『Kazura Bridge』公開後、プロジェクトはますます注目を集めている。音楽という表現手段を通じて、土地の持つ魅力を“外”へ届けるこの活動は、観光戦略や地域PRの新たなモデルケースになりつつある。

“秘境”の名に甘んじず、声を上げ、ビートを鳴らす。
Miyoshi DOGGsの活動が、地域の未来を変える“橋”になるかもしれない。

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