『ルポ歌舞伎町』『ルポ西成』などで知られるルポライター・國友公司による初のエッセイ集『ワイルドサイド漂流記 歌舞伎町・西成・インド・その他の街』が、文藝春秋より6月25日に発売される。歌舞伎町、西成、インド、モンゴル ── 混沌と笑撃に満ちた“ヤバい街”での体験を綴った、命がけで面白い「エクストリーム・エッセイ」である。
笑いと恐怖が同居する“ワイルドサイド”の記録
本書は、ルポタッチで書かれた過去作とは異なり、國友本人の内面やリアルな感情がより色濃くにじむ初のエッセイ集である。ページを開けば、前科九犯のシャブ中元同僚、男娼として過ごしたゲイ風俗店でのバイト、モンゴルでの怪しすぎる出会い、歌舞伎町の廃ラブホテルに住み着いた蟹の密漁おじさん……と、クセの強すぎるエピソードが次々と飛び出す。著者自身も「気づけばワイルドサイドを全力疾走していた」と語るように、どこかぶっ飛んでいながらも、読後に妙な納得感と元気を与えてくれる一冊となっている。
清野とおる絶賛、「呪いのような冒険の書」
推薦コメントを寄せたのは、漫画『東京都北区赤羽』などで知られる清野とおる。「ページをめくるたびに恐ろしくなる。でもその恐ろしさに惹かれて、僕も旅に出たくなる。國友の『冒険の書』は、まるで呪いだ」と評するように、本書は“常識の外側”を旅する者たちに向けた強烈な誘いでもある。
突飛な他者たちに“人生を食われる”快感
「私は、住んだ街で出会った“突飛な変わった人”によってできている」── 著者が序文でそう語るように、本書には街とそこに生きる人々の濃密な“接触”が詰まっている。憂鬱で退廃的な男娼の待機室での日々、アル中のカザフ族との山越え、インドの売春街での監禁未遂、そして新宿・上野・横浜をまたにかける男娼体験記。街と人間に深く潜ることでしか見えてこない「もうひとつの現実」が、ユーモアと不穏さをまじえながら描かれていく。
著者・國友公司とは何者か
1992年生まれ、栃木県那須の温泉地育ち。大学を7年かけて卒業後、西成のドヤ街に潜入し、解体工や簡易宿所のスタッフとして働いた体験をまとめた『ルポ西成』で注目を集める。その後も『ルポ路上生活』『ルポ歌舞伎町』などで、社会の周縁に生きる人々とがっぷり四つに組んだ取材を続けてきた。「ヤクザマンション」での生活や、ストーカー駆除を生業とする人物との交流など、普通の取材では出会えない世界を文字にするその手腕は、いまや唯一無二のものとなっている。
“異常”が日常になる、読むサバイバル・エンタメ
『ワイルドサイド漂流記』は、笑いながらもヒリついた現実に触れることのできる、“読むサバイバル・エンタメ”である。どこまでも制御不能な世界に巻き込まれながらも、それを笑い飛ばして人生の糧にしてしまう ── そんな國友公司の視線と筆致が、読む者を新たな旅へと誘うだろう。
■書誌情報
書名：ワイルドサイド漂流記 歌舞伎町・西成・インド・その他の街
著者：國友公司
発売日：2025年6月25日（水）
出版社：文藝春秋
価格：未定（四六判ソフトカバー予定）
