日本サルサの原点が甦る ── オルケスタ・デル・ソル『Rainbow Love – Deluxe Edition』が世界初リイシュー

J-Jazzやレア・グルーヴの発掘で名を馳せるロンドン拠点のレーベルBBE Musicが、またしても日本音楽史の秘宝を掘り起こした。今回リイシューされるのは、日本初の本格的サルサ・バンド、オルケスタ・デル・ソルによる1981年のデビュー・アルバム『Rainbow Love』。ヴァイナル2枚組&デジタル配信による豪華なデラックス・エディションとして、2025年5月16日に全世界へ向けて発売された。

日本でサルサを根付かせた先駆者たち

本作の誕生は、1977年のファニア・オールスターズ来日公演によって巻き起こった日本サルサ熱の高まりと密接に関係している。レゲエ作品でも知られるパーカッショニスト橋田“ペッカー”正人は、ニューヨークのサルサ・シーンを目撃したのち、日本でオルケスタ・デル・ソルを結成。やがて名ドラマー村上“ポンタ”秀一も加入し、1981年、TBS傘下のレーベル〈ディスコメイト〉よりリリースされたのが『Rainbow Love』である。

本作は、ほとんどがオリジナル楽曲で構成され、日本語・英語・スペイン語が織り交ぜられた歌詞、洗練されたアレンジ、そして情熱的なグルーヴで構成されている。ジャケットのイラストは、サルサ愛好家でもある河村要介が手がけ、ビジュアルからもこのバンドの開拓精神がにじみ出ている。

今なお色褪せない“ジャパニーズ・サルサ”の輝き

今回のリイシューでは、2000年にCD限定でリリースされた『Legend Vol.1』のみに収録されていた7曲のボーナス・トラックを初めてヴァイナル&配信に収録。José Mangual Jr.、マチート、Libreといった往年の名アーティストたちのカバー曲も含まれ、当時のバンドのルーツへの愛情が感じられる内容となっている。

音源はOptimum MasteringのShawn Josephによる新規リマスタリング。さらに、日本ラテン音楽の第一人者である高橋政資(アオラ・コーポレーション)による新規ライナーノーツが、日本語・英語で掲載され、当時の日本音楽シーンとオルケスタ・デル・ソルの関係性を多角的に読み解くことができる。

ラテン × ニュー・ミュージック × 東京スタジオの奇跡

高橋は、本作のサウンドに“ニュー・ミュージックやシティ・ポップのエッセンス”が色濃く反映されている点を指摘している。当時の東京のスタジオ・ミュージシャン文化の中で育まれたオルケスタ・デル・ソルの音楽は、ただのサルサの輸入品ではなく、日本独自の感性と技術によって進化を遂げた「ジャパニーズ・サルサ」なのである。

このオリジナル・メンバーたちは後に、世界的サルサ・バンドオルケスタ・デ・ラ・ルスを結成し、グラミー賞にもノミネートされるなど、グローバルな活躍を果たすこととなる。その出発点が、この『Rainbow Love』に他ならない。

リリース情報

  • アーティスト:Orquesta Del Sol(オルケスタ・デル・ソル)
  • アルバム名:Rainbow Love – Deluxe Edition
  • 発売日:2025年5月16日
  • フォーマット:2xLP / デジタル配信
  • ジャンル:Latin / Salsa
  • レーベル:BBE Music

🎶 言語:日本語/英語/スペイン語
🎨 ジャケット:河村要介(イラスト)
📘 ライナーノーツ:高橋政資(日本語/英語)


時代も国境も越えて踊らせる ── それがオルケスタ・デル・ソル

今、再評価されるべきはシティ・ポップだけではない。東京発、サルサ経由、世界行き。
『Rainbow Love』は、ジャンルを超えた情熱の記録であり、未来へつながる橋でもある。

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