
デトロイト・テクノのパイオニア、カール・クレイグが、自身のアーカイブから秘蔵音源「The Truth」を発掘。2000年に“Designer Music”という一度きりのプロジェクト名義で発表されたこのトラックが、25年の時を経て初のデジタル・リリースを迎えた。本作は、カール・クレイグの軌跡を描くドキュメンタリー『Desire: The Carl Craig Story』の公式サウンドトラックに収録されており、サウンドトラック全体は6月20日にPlanet E Communicationsより配信開始、7月18日には2枚組アナログ盤およびCDでのリリースも予定されている。

「The Truth」は、2000年にリリースされたシングル「Problemz」のB面にひっそりと収められていた楽曲である。今回の再発にあたり、リマスターとリエディットが施され、69名義の名作「Desire」や「At Les」に通じる内省的なムードが鮮やかに蘇る。デトロイト・テクノの精神性と深淵を感じさせる一曲である。
このサウンドトラックには、他にも「No More Words」(1991年)やJunior Boys「Like A Child」のグラミー賞ノミネート・リミックスなど、クレイグの膨大なキャリアを象徴する珠玉の楽曲が多数収録されている。69、Psyche/BFC、Innerzone Orchestraなど多様な名義による楽曲を網羅しており、彼の音楽的変遷を一望できる内容となっている。

Desire: The Carl Craig Story – Official Soundtrack(抜粋トラックリスト)
- Carl Craig – At Les
- 69 – Desire
- Designer Music – The Truth
- Junior Boys – Like A Child (Carl Craig Remix)
- Urban Tribe – Program 12 (My First Mistake)
- Carl Craig – Meditation 4
このドキュメンタリー『Desire: The Carl Craig Story』は、監督ジャン=コズム・デラロワイとSovereign Filmsによって製作された作品で、デトロイト中流家庭に育ったクレイグが、いかにしてグローバルな音楽アイコンへと上り詰めたかを描く。音楽だけでなく、ボッテガ・ヴェネタとのコラボレーションや、MOCAロサンゼルスにも展示されたインスタレーション作品「Party/After-Party」など、アートとカルチャーを横断するクレイグの活動にも焦点を当てている。
また、ジャイルズ・ピーターソン、ロニ・サイズ、ロラン・ガルニエ、DJミンクス、ケニー・ラーキン、モーリッツ・フォン・オズワルド、ジェームス・ラヴェルといった錚々たる面々が出演し、ブラック・アメリカンの創造性を讃え、エレクトロニック・ミュージックにおけるアフリカ系アメリカ人のルーツを再考する契機となる作品でもある。
本作は2024年のトライベッカ映画祭をはじめとする各国プレミアを経て、5月8日に英・アイルランド全土30館で劇場公開。夏にはアメリカでの一般公開も予定されている。さらに、5月22日と23日には、デトロイトの象徴的な場所「ミシガン・セントラル駅」にて、Movement Festivalとの連携による特別上映も実施された。これはクレイグが長年インスピレーションを受けてきた場所であり、地元のカルチャーと音楽の結節点として機能する意義深い試みである。
新たに光を当てられた楽曲「The Truth」とともに、デトロイト・テクノの本質を再発見するこの機会を、ぜひ見逃さないでいただきたい。
「The Truth」配信リンク:
https://planete.lnk.to/thetruth
サウンドトラック予約:
https://planete.lnk.to/DESIREOST
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