
現代アンビエント・シーンの最前線を静かに歩み続けるジョニー・ナッシュが、通算7作目となるソロ・アルバム『Once Was Ours Forever』を7月4日にリリースする。レーベルは自身が主宰する〈Melody As Truth〉、日本盤は〈PLANCHA〉よりCD化され、ボーナストラックと解説も収録予定である。
本作には、カナダのアンビエント・ジャズ・サックス奏者ジョセフ・シャバソンをはじめ、日本のインディ・シーンからも豪華な面々が参加。Maya OngakuのShoei Ikeda、元・幾何学模様のTomo Katsurada、そして東京拠点のアシッドフォーク・アーティストSatomimagaeが名を連ね、ナッシュの音世界に独自の彩りを添えている。
夕暮れに包まれる音──『Point Of Entry』の先をゆく11曲
本作『Once Was Ours Forever』は、2023年作『Point Of Entry』の延長線上にある作品でありながら、より夕暮れの情緒を湛えたサウンドへと進化している。優しいフィンガーピッキングのギター、霞んだ光のようなリバーブ・ヴォーカル、そして繊細なアンサンブルが交差し、まるで日没の移ろいを音で描くように展開される。
先行公開されたシングル「Bright Belief」は、コズミックなアメリカーナと形容できる広がりを持ち、アルバムの冒頭から聴き手を深い没入へと誘う。加えて、「The Way Things Looked」ではシューゲイザー的な重層的ギターサウンドが空間を満たし、アンビエントの枠を優しく超えていく。
共鳴する個性たち──国内外アーティストとのコラボレーション
参加アーティストの存在も、本作の大きな魅力のひとつである。「Angel」ではジョセフ・シャバソンのサックスが儚い旋律を奏で、「Dusk Can Dance」にはShoei Ikedaの柔らかな音色が重なっている。元・幾何学模様のTomo Katsuradaは「Holy Moment」でチェロを披露し、Satomimagaeは「Rain Song」にて、深く心に沈み込むようなボーカルを響かせている。
これらのコラボレーションは単なる“客演”ではなく、それぞれの音がナッシュのサウンドに自然と溶け込み、ひとつの静謐な風景を形成しているのが印象的である。
柔らかさと重みのバランス
ナッシュの作品が一貫して提示してきたのは、音楽における“余白”の美しさである。本作もまた例外ではない。深く響く音の重みと、空気のように軽やかな音の柔らかさ。その間を巧みに行き来しながら、リスナーそれぞれの解釈や感情を引き出す空間が広がっている。
田園と都市、牧歌と抽象。ジョニー・ナッシュの音楽は、相反するようでいて共存し得る要素を無理なく融和させる。『Once Was Ours Forever』はその到達点のひとつであり、日々の静けさにそっと寄り添ってくれるような作品である。

リリース情報
アーティスト:Jonny Nash
タイトル:Once Was Ours Forever
レーベル:PLANCHA / Melody As Truth
品番:ARTPL-237
フォーマット:CD(日本独自仕様/ボーナストラック収録予定/解説付き)
発売日:2025年7月4日
価格:2,200円(税別)
収録曲
- Blue Dragonfly
- Dusk Can Dance (feat. Shoei Ikeda)
- Bright Belief
- Walk The Eighth Path
- Moon Seed
- Angel (feat. Joseph Shabason)
- Rain Song (feat. Satomimagae)
- The Way Things Looked
- Close To The Source
- Holy Moment (feat. Tomo Katsurada)
- Green Lane
※日本盤のみボーナストラック収録予定