
ビョーク史上もっとも壮大と評されるライブパフォーマンスが、映画館の大スクリーンで再び息を吹き返している。コンサート映画『ビョーク:コーニュコピア』は、当初全国12館での限定公開だったが、TOHOシネマズ日比谷では連日満席が続き、上映は5月22日(木)まで延長。加えて、イオンシネマ系列での上映館数が大幅に増加し、全国35館以上での拡大公開が決定した。
映画館で体験する、ビョークの芸術世界
本作は、2023年にリスボンで行われたビョークの「コーニュコピア」ツアー公演を収めたもので、監督はイーソルド・ウッガドッティルが務めた。アルバム『フォローラ』(2022年)、『ユートピア』(2017年)、『ヴァルニキュラ』(2015年)の楽曲が、映像作家や舞台美術家たちとの共同演出によって圧倒的なビジュアルとサウンドで蘇る。
ステージ上でのメッセージは、アニメーション、マルチメディア演出、そして彼女自身の手書きによる英語字幕とともに表現され、視覚・聴覚・感情すべてを刺激する芸術体験として完成している。ライブパフォーマンスの映像がここまで映像芸術として昇華された例は希有であり、「これまでにない没入体験」と称される所以である。
日本全国へ、さらなる劇場拡大へ
観客からの熱狂的な支持を受け、5月30日(金)から6月5日(木)の1週間限定で、イオンシネマ系列を中心とした全国16劇場での追加上映が決定した。北海道から九州まで各地でスクリーン上映されることとなり、より多くの人々がこの“現代の音楽芸術”に触れる機会を得ることとなる。
さらに、ビョークがキュレーションした3本のミュージックビデオも特別上映として付属。トータル約100分にわたる芸術の奔流が、観る者を圧倒する。
アートと環境思想の融合
本作の魅力は単なるコンサート映像にとどまらない。舞台上の演出や映像は、ビョークが長年にわたって取り組んできた環境問題や未来への希望といったメッセージとも密接に結びついている。崩壊と再生、破壊と創造、現代社会への問いかけ──それらを芸術として昇華させ、観客の内面にまで語りかける。

世界25カ国・500館以上で上映、日本では文化的事件に
『ビョーク:コーニュコピア』は、すでに世界25カ国以上で上映されており、日本ではまさに“文化的事件”と呼ぶにふさわしい注目度である。かつて『ダンサー・イン・ザ・ダーク』(2000年)でその名を日本中に知らしめたビョークを、いま再びスクリーンで体験する貴重な機会が訪れている。
初めてビョークの芸術に触れる人にとっても、彼女の進化し続けるヴィジョンと音楽世界を堪能できるまたとない入門編となるだろう。ぜひ、劇場という異空間でその非日常に身を委ねてほしい。
上映劇場・スケジュール・詳細情報は公式サイトへ:
https://www.culture-ville.jp/bjork

写真クレジット:photo by Santiago Felipe