
クラブカルチャーの黎明期を体験したDJ先駆者・髙橋透の著書『DJバカ一代 ディスコとクラブの黄金時代を紐解くDJ先駆者の自伝的ストーリー1975-1995』が、ついに電子書籍として登場した。2007年の初版刊行から実に18年の歳月を経て、2025年4月30日より配信がスタート。クラブ黎明期の臨場感あふれる証言を、今ふたたび味わえる機会である。
本書は、六本木〈エンバシー〉〈アフロレイキ〉、赤坂〈マンハッタン〉、原宿〈クラブD〉、芝浦〈ゴールド〉といった東京の伝説的ディスコ/クラブのほか、NY〈ザ・セイント〉〈パラダイス・ガラージ〉など、国内外のクラブ黄金期を駆け抜けた髙橋の回想録である。交流のあったラリー・レヴァンとのエピソードも綴られ、70年代から90年代にかけてのクラブシーンを知るうえで貴重な資料となっている。
批評家・松岡正剛氏も「松岡正剛の千夜千冊」にて本書を取り上げ、「闇と毒のない、危険に演出する者がいなくなった90年代」を惜しむ言葉を残している。そうした時代を肌で知る者として、髙橋が体験した「現場」のリアリティは、決して過去のノスタルジーではなく、今日のクラブ文化を見つめ直す鏡として響く。
構成は5章立て。ソウルディスコに魅せられた1970年代から、ニューヨークでの濃密な日々、東京でのクラブ黎明期、そして芝浦〈ゴールド〉での到達点までが、臨場感あふれる筆致で綴られている。都市と音楽、ナイトライフと人々の欲望が交差する濃密な20年が、クラブミュージックを愛するすべての読者の胸を打つであろう。
著者・髙橋透は、1957年生まれ。70年代後半にDJキャリアをスタートし、〈ザ・セイント〉〈パラダイス・ガラージ〉をはじめとするNYクラブシーンを体験。帰国後は〈ツバキハウス〉〈クラブD〉などでレジデントを務め、〈ゴールド〉で日本のハウスカルチャーに多大な影響を与えた。近年では「GODFATHER」などでディープハウスの新たな地平を切り拓き、2025年にはDJ活動50周年を迎える。
本書の電子化は、まさに時代を超えた“記憶のアップデート”である。今こそ、あの熱狂の夜と対峙してみてほしい。
『DJバカ一代 ディスコとクラブの黄金時代を紐解くDJ先駆者の自伝的ストーリー1975-1995』
著者:髙橋透
定価:1,760円(税込)
電子版発売日:2025年4月30日
発行:株式会社リットーミュージック
商品情報ページ:https://www.rittor-music.co.jp/product/detail/3106317309/