テクノロジーはもはや“消費するもの”ではない。参加し、介入し、再定義するものだ。バルセロナ発のイノベーション・ラボSónar+D 2026が掲げる今年のテーマは、そのシンプルで大胆な転換にある。急速に自動化が進む世界のなかで、“人間とは何か”を問い直す2日間が、2026年6月18日・19日に開催される。
新会場に宿る800年の時間と最先端の思考
今年の舞台は、バルセロナ中心部に位置する歴史的建造物Llotja de Mar。800年の歴史を持つこのネオクラシカル建築が、トーク、ワークショップ、パフォーマンス、展示、インスタレーションといった多層的なプログラムで満たされる。思考と実践、批評と体験が同時進行する空間は、もはや“カンファレンス”ではなく“フェスティバル”そのものだ。






AI時代の創造性を問う「AI & Music」
AIが音楽制作の前提となりつつある現在、創造性はどこへ向かうのか。プログラムの中核を担う「AI & Music」では、ポストAI時代における音楽のあり方を多角的に検証する。ジャズピアニストIgnasi TerrazaとAIによるデュオ演奏や、音楽ハッカー・デュオDadabotsの生成的パフォーマンスなど、テクノロジーと人間の共創がリアルタイムで立ち上がる。
さらに、研究者やアーティストによるトークでは、AIが“当たり前”となった後の音楽制作の倫理や可能性に踏み込む。ここではAIはツールではなく、共演者であり、時に対話相手となる。













スクリーンの外へ ── 身体性の回帰
スマートフォンから巨大LEDまで、スクリーンが支配してきた10年。その反動として、いま再び“身体”が創作の中心に戻りつつある。「Beyond the Screen」では、デジタルとフィジカルの融合を試みるアーティストたちが集結する。
ロボティクスを扱うMónica Rikić、ライブコーディングを行うミュージシャン、ウェアラブル技術で身体と音を接続する表現者たち。さらには、パフォーマンス・アーティストFitnesssとダンサーRiusforzaによる新作も披露される。ここでは身体そのものがインターフェースとなり、デジタル表現に新たな重力を与える。




























インターネットの未来を再設計する
「Digital Gardens and Dark Forests」は、商業化された現代のインターネットに対するオルタナティブを模索するテーマだ。かつて自由な表現の場だったウェブは、いまやアルゴリズムと資本に支配されている。その構造からどう抜け出すのか。
起業家で思想家のYancey Stricklerや、デジタル文化を批評するMindy Seuらが登壇し、インターネットの新しい“使い方”ではなく、“あり方”そのものを問い直す。個人的で小さなネット空間=“デジタル・ガーデン”の再評価は、未来へのヒントとなるだろう。










音楽を超えるパフォーマンス体験
Sónar+Dの魅力は音楽にとどまらない。ノイズ・アーティストEvicshenの身体性を極限まで押し出したライブや、テクノロジーとの関係性を問い直す実験的パフォーマンスが、観客の感覚を揺さぶる。ここでは“観る”ことすら能動的な行為へと変わっていく。







体験としてのテクノロジーへ
2026年のSónar+D 2026は、単なる展示や議論の場ではない。テクノロジーをどう使うかではなく、どう関わるか。その問いを身体で引き受ける場だ。
AI、身体、インターネット――それぞれのテーマはバラバラに見えて、実はひとつの問いへと収束する。「人間はこれから、どこに立つのか?」
その答えは、スクリーンの外側、そしてあなた自身の行動の中にある。
Full lineup and tickets available at sonar.es.
