音とテクノロジーの最前線がモントリオールに集結──〈MUTEK Montréal〉第27回、第一弾ラインナップ発表

電子音楽とデジタル・アートの最前線を提示してきた国際フェスティバル、MUTEK Montréalが、2026年開催(8月25日〜30日)の第一弾アーティストを発表した。会場はカナダ・モントリオールの中心部に広がるアート地区。6日間にわたり、世界の電子音楽シーンを牽引するパイオニアから次世代の実験的アーティストまでが集結し、音楽・テクノロジー・アートが交差する特別な空間を生み出す。

都市を舞台に広がる“歩くフェスティバル”

MUTEKの特徴は、都市の複数会場を横断する独自のフォーマットだ。プログラムはモントリオールの文化地区「Quartier des spectacles」を中心に展開される。

屋外では、公共スペースのEsplanade Tranquilleで無料プログラムが開催され、実験的な作品はSociety for Arts and Technology(SAT)で展開。クラブ志向の夜のプログラムは大型会場MTELUSが担う。

さらに今年は、新会場としてコンサートホールMaison symphonique de Montréalが追加。優れた音響設計を誇る空間で、壮大なスケールの作品が披露される予定だ。

テクノの伝説から実験音楽の革新者まで

今回の発表には、シーンの歴史を形作ってきた巨匠たちの名も並ぶ。

デトロイト・テクノのパイオニアJeff Millsは、SF世界観をテーマにした新作ライブ・パフォーマンス「Stargate」の北米初演を披露予定。

また、エレクトロニック・アンビエントの名作『Endless Summer』の25周年を記念し、Fenneszとビジュアル・アーティストLillevanがスペシャル・パフォーマンスを行う。

さらにアシッドハウス黎明期を支えたA Guy Called Geraldは、1995年の名作『Black Secret Technology』をライブで再演。

そして約13年ぶりにMUTEKへ戻るMatthew Herbertは、食料問題をテーマにした社会的プロジェクトを発表する。

電子音楽が“儀式”へと変わる瞬間

今年のプログラムには、パフォーマンスを“現代の儀式”として提示する作品も多数登場する。

日本のアーティストEi Wada率いるELECTRONICOS FANTASTICOS!は、廃棄されたテレビや電子機器を楽器として再利用する参加型パフォーマンスを披露。

ノイズシーンの重要人物EvicshenはDIY楽器による身体的なライブを展開し、さらに作曲家Tristan PerichとオルガニストJames McVinnieは100台のスピーカーとオルガンによる壮大な作品「Infinity Gradient」を上演する。

アンビエント・テクノのカルト的ユニットVoices From The Lakeや、日本の異端ユニットViolent Magic Orchestraも出演予定だ。

世界の新世代が描く電子音楽の未来

グローバルな電子音楽の最前線も強力だ。

トロント拠点のプロデューサーchiquitamagicはラテンとジャズの要素を融合したハードウェア・ライブを披露し、香港の実験的ベースミュージックの旗手gyrofieldはワールドプレミアとなるライブセットを披露。

さらにアンゴラ出身のアーティストNazarが、政治性を帯びた電子音響で強烈な存在感を放つ。

クラブカルチャーの現在形

クラブ・シーンを牽引するDJ/プロデューサーも多数参加する。

Ben UFOや、アルバム『Stochastic Drift』で高い評価を得たBarkerをはじめ、モジュラー・テクノの新世代PolygoniaとJakoJakoがライブセットを披露。

さらにベース/レイヴの最前線を体現するMia KodenやNVST、ポストクラブ・アンビエントの新潮流を担うPurelinkもラインナップに名を連ねる。

音・映像・建築が交差するライブ体験

MUTEKでは音楽と視覚芸術、空間デザインの融合も重要なテーマだ。

スイスの作曲家Noémi Büchiは新作AVライブ「Exuvie」を披露し、英国のプロデューサーRival Consolesは没入型の映像演出を伴うライブセットを展開。

さらにヴォーカリストSara PersicoとビジュアルアーティストMika Okiによるプロジェクト「Sphaîra」は、建築音響から着想を得たオーディオビジュアル作品として披露される。

クリエイティブの未来を議論する「MUTEK Forum」

フェスティバルと並行して開催されるカンファレンス「MUTEK Forum」も、今年はさらに拡張。8月26日から28日にかけて開催され、トーク、ワークショップ、プロジェクト発表などを通じて、デジタル時代の創造性について議論が交わされる。

世界各国のキュレーターやプロデューサーが参加するマーケット・プログラムも用意され、ケベックのクリエイティブ・シーンを国際的に発信する重要なハブとなる。

電子音楽、映像芸術、テクノロジー、そして都市空間。
それらすべてを横断しながら進化を続けてきたMUTEK。第27回となる2026年のモントリオールは、未来の音楽文化を体験するための6日間になるだろう。

MUTEK.org

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