
ロサンゼルスのプロデューサー/コンポーザー、ヘイズ・ブラッドレイが2025年のアルバム『Audience』を新たな角度から再解釈したリミックスEP『Audience Remixed』をリリースした。手がけたのは、各地のクラブ・シーンを牽引する革新者たち ── スペシャル・リクエスト、シャンティ・セレステ、Priori、そしてYu Su。原作に宿っていたブレイクビーツ、トリップホップ、アンビエントの衝突は、それぞれ異なるクラブ言語へと分解され、まったく新しい身体性を獲得している。リリースはStrataSonic Recordsから。
原作『Audience』を解体し、別次元のフロアへ
『Audience Remixed』は、ダンスフロア志向のハイブリッド作品だった『Audience』の要素をさらに地下深くへ潜らせる試みだ。ブレイクビーツの鋭さ、トリップホップの陰影、アンビエントの浮遊感 ── それらが4人の手によってまったく異なるクラブ・フォーマットに置き換えられ、楽曲は新たな物語を帯びる。リミックスでありながら、別のアルバムを聴いているかのような没入感がある。
スペシャル・リクエスト:ジャングルの爆発力と天上的余韻
スペシャル・リクエストは「& I Love U」を2種類のバージョンで再構築。精密なドラムと高揚するシンセで組み上げたジャングル色濃厚なExtended Mixは、疾走感の中に緊張を持続させる緻密なワークアウト。一方のVIP版では、よりドリーミーで天空的なニュアンスを加え、同一楽曲の“昼と夜”のような対比を提示する。
シャンティ・セレステ:感情を宿したレイトナイト・ハウス
チリ出身のシャンティ・セレステは「Play It As It Lays」を柔らかなシンセのモチーフと包み込むような低域で再設計。泡立つような質感のビートが、夜更けのフロアに溶けていくエモーショナルなハウス・トラックへと変貌させている。
Priori:SF的恍惚を纏うブロークンビートの旅
カナダの音楽家Francis Latreilleの別名義であるプリオリは、「Awareness」を宇宙的な音像のブロークンビートへと転換。コズミックなシンセの波と太いベースラインが交錯し、時間感覚を歪めるようなサイファイ的エクスカーションを描き出す。
ユー・スー:ダーク・ディスコの陰影をまとったスローモーション
EPを締めくくるのは、ユー・スーによる「Dear Treasure」のリミックス。生々しいドラムと影のあるヴォーカル・ループ、そして妖しいメロディが絡み合い、スローモーションでうねるダーク・ディスコのグルーヴを形成。原曲の情緒を保ちながら、より退廃的で官能的な深夜のムードへと導く。
境界を横断するプロデューサー、ヘイズ・ブラッドレイの現在地
ロサンゼルスを拠点とするヘイズ・ブラッドレイは、ジャンルの垣根を越えた実験的アプローチで知られ、DJ/プロデューサーとしてのみならずコンポーザーとしても活躍。ファッションブランドへの楽曲提供や著名アーティストのリミックスワーク、さらにはフランスのグループAirのツアー・サポートなど、多彩な活動で存在感を拡張してきた。ドラム、シンセ、ピアノを用いたダイナミックなライブ・セットも評価が高い。
『Audience Remixed』は、単なる再編集ではなく、オリジナル作品を異なるクラブ文化の視点から“翻訳”したコレクションだ。4人の解釈を通じて浮かび上がるのは、ブラッドレイの楽曲が持つ可塑性と、その奥に潜む普遍的なダンスフロアの記憶である。

Buy / Stream: Hayes Bradley – Audience Remixed
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