
地中海の光と歴史が交錯する舞台で、音楽とデジタルアートが新たな物語を紡ぐ。イタリア・アグリジェントの神殿群を舞台に開催される国際フェスティバル「FestiValle」が、2026年8月7日から10日までの4日間、10周年記念エディション「10 Years Together」として帰還する。舞台はユネスコ世界遺産として知られるValle dei Templi。時代を超えた景観の中で、現代音楽とデジタルアートが対話する特別な祝祭だ。
古代遺跡で鳴る現代のサウンドトラック
インディペンデントなプロジェクトとして始まったFestiValleは、年々規模と国際性を拡大し、単なるライブイベントを超えた“体験型フェスティバル”へと進化してきた。2026年の記念回では、20以上のプログラムを通じて、コンサート、サイトスペシフィックなパフォーマンス、デジタルインスタレーションが連続的に展開される。夕暮れのコンサート、夜のアフターショー、そして夜明けのパフォーマンス――時間帯ごとに異なる表情を見せる構成が、このフェスの核を成す。

ジャズからテクノまで、多層的なラインナップ
初日を飾るのは、UKジャズ新世代の旗手エズラ・コレクティヴ。アフロビートやヒップホップ、クラブカルチャーを横断する祝祭的なライブで、観客を一気に祝祭空間へと導く。続く日は、現代的イタロディスコを再解釈するマインド・エンタープライズ、デトロイト・テクノの先駆者オクターヴ・ワンが登場。象徴的な楽曲「Blackwater」を含むハードウェア・ライブは、クラブカルチャーの歴史と現在を接続する瞬間となる。
さらに、ロンドン発のミスティックなソウルを体現するグリーンティー・ペン、グラミー受賞歴を持つソウル/ファンクの巨匠コリー・ヘンリー率いるバンド、そして最終日にはエレクトロニカとシネマティックな音響を横断するアパラットのライブバンドセットが控える。ジャンルを越境する構成こそが、FestiValleの美学だ。






夕暮れ、星空、そして夜明け ── 時間と場所が演出する体験
会場の一つ、コリュンベトラ庭園では、夕暮れの柔らかな光の中で行われる没入型ライブが観客を迎える。古代の石造建築を背景に、音楽がゆっくりと空間へ溶け込んでいく感覚は、このフェスならではの体験だ。メインステージとなる採石場跡の自然劇場では、映像インスタレーションやビデオマッピングが導入され、音と光が遺跡の質感に呼応するオーディオビジュアル空間が出現する。
夜を越え、神話へと接続する夜明けの儀式
FestiValleの象徴的プログラムといえば、神殿を背景にした夜明けのパフォーマンスだ。ダンサー、俳優、歌手ら20名以上が参加し、ギリシャ神話をモチーフにした音楽劇が再解釈される。太陽がドーリア式の列柱の背後から昇る瞬間、遺跡は舞台へと変わり、観客は音楽・演劇・儀式が融合した集団的体験へと包み込まれる。
歴史と未来をつなぐフェスティバルの使命
音楽、デジタルアート、そして考古学的景観。その三者を共存させながら場所の均衡を崩さないこと――それがFestiValleの理念だ。文化省からの認定を受けつつ、地域との協働を強化し、持続可能な文化イベントとして国際的な評価を高めている。
神殿の静寂、地中海の風、そして最先端のサウンド。10年目のFestiValleは、過去と未来を接続する“時間の交差点”として、再び世界中の音楽ファンを迎え入れる。
website: www.festivalle.it
