煙るグルーヴと独白が交差する玄関口 ── ガルシャー・ラストワーク、2年ぶりの新章『Vestibule』をドロップ

ハウス・プロデューサー/ラッパーとして独自の地平を切り拓いてきたガルシャー・ラストワークが、2年ぶりとなる新作EP『Vestibule』をリリースした。3曲入りのコンパクトな作品ながら、ジャジーでスモーキーなビートと自伝的なラップが溶け合う、彼ならではのラップ・ハウスの深化が刻まれている。リリースはStrataSonic Recordsから。

叙情とフロアが溶け合う“3つの短編”

『Vestibule』は、内省的な深みとナラティブ主導のヒップホップ的フロウを、しなやかなハウスのグルーヴへと接ぎ木した3トラックEP。リード曲「Shorty Out」は、歪んだ質感のラップ・ハウスとして、クラブでも深夜の地下鉄でも似合う都市的な空気をまとっている。煙るようなジャズ感覚のループと、淡々と綴られる言葉のリズムが、ダンスミュージックの“玄関口=Vestibule”というタイトルの示唆を静かに体現する。

クリーヴランドからNYへ、地下の金字塔を経て

クリーヴランド出身、現在はニューヨークを拠点に活動する彼は、Ghostlyや自身のレーベルからの作品群で評価を高め、2013年のミックステープ『100% Galcher』はアンダーグラウンドの金字塔として語り継がれてきた。その影響は、ベルリンの名門クラブPanorama BarやNYのNowadaysといった現場からフェスティバル、さらにはファッションやアート周辺のカルチャーまで横断している。

StrataSonicへの帰還が示す現在地

本作は、昨年にANiMLの「Bruv」リミックスを手がけて以来となるStrataSonic Recordsへの帰還作でもある。ビートのミニマルな削ぎ落としと、語りの親密さ。その両立は、彼が長年磨いてきた“物語るハウス”の現在形と言えるだろう。

メキシコシティのアートウィーク直後に放たれた新章

『Vestibule』は、メキシコシティで開催されたアートウィークのレーベル・パーティ直後に解き放たれた。会場となったのは現代アートフェアのZona Maco。ラインナップにはHercules & Love Affair、Bill Patrick、Mystery Affairらが名を連ね、アートとクラブカルチャーの交差点で本作の空気感を先取りする一夜となった。

静謐な独白とフロアの律動が、同じ速度で歩き出す。『Vestibule』は、ガルシャー・ラストワークが再びダンスフロアの灯りの中へ戻ってきたことを告げる、控えめでいて確かな宣言だ。

Buy / Stream: Galcher Lustwerks – Vestibule EP
https://orcd.co/vestibuleep

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