
カナダ出身のプロデューサー/ミュージシャン、ダン・スナイスによるダンス・ミュージック・プロジェクト、Daphniが新作アルバム『Butterfly』を発表した。Caribou名義での緻密なサウンドメイキングとは対照的に、より即興的で肉体的なクラブ・エネルギーを放つDaphni。その最新章を象徴する本作のリリースとともに、Rainbow Disco Club 2026およびPre-partyへの出演も決定し、2026年のダンスミュージック・シーンにおける重要な動きとして注目を集めている。
『Butterfly』が示す、ダンスミュージックの現在形
2026年2月6日にリリースされた『Butterfly』は、3年ぶりとなるDaphni名義のフルアルバム。ハウスやテクノ、アフロビートなど多様な要素を自在に横断しながら、フロアの衝動とメロディの快楽を同時に掴み取る、現在進行形のダンスミュージック像を描き出している。
先行曲「Sad Piano House」で提示された、歪んだピアノとしなやかなグルーヴは、本作全体を貫く重要なモチーフのひとつだ。陶酔的でありながら捉えどころのない音像は、クラブでの実践を通じて磨かれてきたDaphniならではの美学を体現している。
さらに注目すべきは、「Waiting So Long (feat. Caribou)」という興味深いクレジットだ。CaribouとDaphni、ふたつの名義の境界を意図的に溶かし、同一人物であるダン・スナイスの音楽的アイデンティティを新たな形で提示している。内省と高揚、構築と即興が同時に立ち上がる瞬間は、本作の核心と言えるだろう。
フロアとレコードのあいだを往還する感覚
『Butterfly』には、単なる機能的トラックの集合では終わらない多彩な楽曲が並ぶ。「Clap Your Hands」の荒々しく中毒性のあるエネルギー、「Hang」のコミカルなホーンが生む高揚感、「Lucky」や「Talk To Me」の妖しく沈み込むグルーヴなど、ピークを一箇所に集中させるのではなく、夜の流れそのものをデザインするような構成が印象的だ。
スナイス自身が語るように、本作は理想的なクラブ空間でのロングセット体験から強い影響を受けている。機能性だけでなく、風変わりな曲や逸脱したアイデアを並置することで、ダンスミュージックの“教会”をより大きく拡張していく――その思想がアルバム全体を貫いている。
Rainbow Disco Club 2026 Pre-partyに登場
そんな『Butterfly』を引っ提げ、Daphniは2026年4月4日(土)に開催される「Rainbow Disco Club 2026 Pre-party」への出演が決定。会場は東京・WOMB、20時オープンの特別版として朝まで駆け抜ける一夜となる。
メインフロアでは、Daphniが3時間のオープニングセットを披露予定。さらにHunee、Masalo(live)、Mayurashkaらが出演し、国内外のクラブシーンを横断する豪華ラインナップが集結する。

本編RDCではBen UFOとの特別企画にも出演
続く4月17日(金)から19日(日)にかけて静岡・東伊豆で開催されるRainbow Disco Club 2026本編にも、Daphniは初日金曜日に出演。「Ben UFO and Friends」と題された特別なコラボレーション枠での登場となり、Floating Pointsらと並ぶキーネームとしてラインナップに名を連ねている。
クラブとフェスティバル、その両極の現場を自在に行き来してきたDaphniにとって、RDCの空間は『Butterfly』の精神を最も自然に体現できる場となるはずだ。

Caribouとは異なる衝動、その自由の正体
Daphniは、Caribouとして知られるダン・スナイスが、より直接的にダンスフロアへ訴えかけるためのプロジェクトとして始動した。2012年の『Jiaolong』以来、DIY精神に満ちたエディット感覚とDJ的発想で、スタジオとクラブの境界を溶かす作品を発表し続けてきた。

『Butterfly』は、その原点との親和性を保ちながら、現在の広がりきったダンスフロアに応答する作品でもある。多様な音の蝶が縦横無尽に舞いながらも、決して散漫にはならない。そこにあるのは、きわめて人間的で喜びに満ちた探求心だ。
2026年春、Rainbow Disco Clubの夜明け前、3時間にわたるDaphniのセットは、このアルバムが持つ自由と衝動を、最も純度の高いかたちで体験できる瞬間になるだろう。
