
ハウスとテクノを軸に、フロアに笑顔と高揚をもたらすDJ/プロデューサー、MRZ。90年代クラブカルチャーへの深い愛情を感じさせる彼が、最新リリースとして『Stand By Me』と『Disco Club』の2作をBandcampで発表した。
ジャンルを横断する“踊れるノスタルジア”
MRZのサウンドの魅力は、そのしなやかなジャンル横断性にある。ハウスやテクノを基盤に、ソウルフル・ハウス、ディープ・ハウス、ガラージ、ファンキー・ハウス、UKガラージ、フレンチ・タッチ、ジャングル、アシッド・ハウスまでを自在に行き来するセレクションは、90年代のクラブシーンを体験してきたリスナーには懐かしく、同時に現代のフロア感覚にもフィットする。
『Stand By Me』──温度のあるグルーヴで包み込む一枚
『Stand By Me』は、MRZのソウルフルで温かみのある側面が色濃く表れた作品だ。ディープで滑らかなグルーヴと、身体に自然と染み込むリズム。派手な主張ではなく、フロアの空気をじわじわと一体化させていくような構成が印象的で、長い夜の中盤から終盤にかけて真価を発揮する。

『Disco Club』──フロア直撃の高揚感
一方の『Disco Club』は、よりダイレクトに“踊らせる”ことを意識した内容。ファンキーで弾力のあるビート、思わず身体が反応してしまうベースラインが特徴で、MRZのDJとしての現場感覚がストレートに反映されている。タイトル通り、クラブの熱気と享楽性を凝縮した一作だ。

世界を巡るDJとしての実績
MRZはこれまで、フランスを拠点に、アメリカ、日本、イギリス、ブルガリア、ルーマニア、スペイン、オランダ、ハンガリー、スイス、スロベニア、チェコなど、数多くの国と都市でプレイを重ねてきた。国境を越えて共有されるダンスミュージックの喜びを、現場で体感し続けてきたアーティストである。
インディペンデント・シーンを支える存在として
Arkuda Label、Unbelievably Spectacular、Too Rough 4 Radio、Pleasure Promise Records、Misplaced Recordings、EELF Records、Welofiといったレーベル/コレクティブへの参加も、MRZの活動を語るうえで欠かせない要素だ。メインストリームとは異なる場所で、確かな美意識とダンスフロアへの誠実さを共有するネットワークの中で、彼は着実に存在感を築いている。
“踊って、笑う”ための音楽
「人を踊らせ、笑顔にしたい」。そのシンプルで力強い動機が、MRZの音楽の核にある。最新作『Stand By Me』と『Disco Club』は、その姿勢を異なる角度から提示する好対照な2枚だ。90年代のスピリットを今のクラブに更新するMRZの現在地を、ぜひBandcampで体感してほしい。

