
100年の裏方仕事から、表舞台へ
国産エレキギターの歴史を語るうえで、その名が表に出ることは少なくとも、多くの名器を“完成形”へと導いてきた存在がある。長野県塩尻市に拠点を構える株式会社三泰は、1920年の創業以来、100年以上にわたりギター塗装を専門に担ってきた企業だ。
国内外のギターブランドから厚い信頼を受けてきたその三泰が、2026年、自社初となるオリジナルギターブランド〈SANTAI GUITAR〉を立ち上げる。長年“支える側”として培ってきた技術と美学を、自らの名で鳴らす──その第一歩となる。
ブランドの核にある思想「Tone Dialogue」
SANTAI GUITARが掲げるブランドメッセージは「Tone Dialogue(トーン・ダイアローグ)」。直訳すれば“音との対話”だ。
音は単なる結果ではなく、プレイヤーとの応答によって立ち上がるもの。その間に存在するのが、塗装という“音の翻訳層”であるという考え方は、長年ギターの表情と鳴りを左右してきた三泰ならではの視点だ。
SANTAI GUITARのプロダクトはすべて、この「音と人の関係を対話として捉える」という哲学を起点に設計されている。


音を“翻訳する”という発想──Transla Series誕生
その思想を最初に形にしたのが、新シリーズ〈Transla(トランスラ) Series〉だ。“Transla”は「Translate(翻訳する)」から派生した造語で、プレイヤーの感情やタッチを、よりダイレクトに音へと変換することをテーマとしている。
極薄塗装によるレスポンス、木材の反応を損なわない設計、そして余計な装飾を削ぎ落としたルックス。ギターを「音を出す道具」ではなく、「感情を翻訳する装置」として再定義する試みが、ここにはある。
擬音で語る、4つの個性
Transla Seriesは全4機種。それぞれのモデル名は、ミュージシャン同士が音を共有する際に使う“擬音”から着想を得ている。
Koon ─ ミニマルが極まる、1ピックアップの潔さ
シリーズ中もっともシンプルな構成を持つKoonは、P-90を1基のみ搭載。
極薄塗装と直付けピックアップにより、プレイヤーのタッチやニュアンスがそのまま音に現れる。
引き算の美学が、ギター本来の反応速度と表情を際立たせる一本だ。

Zoon ─ ローエンドを制する、現代的ハイパワー
Mahoganyボディ×Ebony指板、リアに1ハムバッカーという潔い仕様のZoonは、力強さと明瞭さを兼ね備えたモデル。
アクティブ/パッシブ切り替えを備え、ミニマルながら音作りの幅も確保している。
サテンブラックの外観も含め、シリーズ中もっとも攻撃的な存在だ。

Toon ─ Translaの思想を体現するフラッグシップ
2ハムバッカー仕様のToonは、シリーズの中核を担うモデル。
バランスの取れた音域と優れたレスポンスで、クリーンからドライブまで幅広く対応する。
ジャンルを問わず使える“標準形”として、SANTAI GUITARの思想を最も分かりやすく体現している。

Poon ─ 視覚と音、どちらも遊ぶために
Toonをベースに、単色フィニッシュを採用したPoonは、シリーズ中もっともポップな立ち位置。軽快なレスポンスと高い実用性を持ちながら、視覚的な個性もしっかり主張する。
ステージでも日常でも、“使われること”を前提としたモデルだ。

国産ギターの未来を、塗装から問い直す
Transla Seriesはすべて完全受注生産。販売はSANTAI GUITARのECサイト限定で、納期は約6ヶ月となる。
100年以上にわたり“音の表面”を作り続けてきた三泰が、今あらためて問いかけるのは、「ギターは、どこまでプレイヤーの感情に寄り添えるのか」という根源的なテーマだ。
SANTAI GUITARは、国産ギターの新しさを、奇抜さではなく“対話”の中に見出そうとしている。
SANTAI GUITAR
URL:https://www.santai.jp/santai_guitar/
