音で神話は生まれる。トリスタン・アレンが描く「火」と「時間」の起源 ── RVNG Intl.から届く壮大な創世記アルバム『Osni the Flare』

NYブルックリンを拠点に活動するコンポーザー/プロデューサー/パペッティア、トリスタン・アレンのニュー・アルバム『Osni the Flare』が、3月27日にRVNG Intl.よりリリースされる。アナログLPとデジタル配信に加え、日本ではPLANCHAよりCD化(日本独自仕様/解説付き予定)されることも決定した。

先行ファースト・シングル「Act I: Garden」は、すでにMVとともに公開中。神話、音楽、視覚表現が一体となった、アレンの世界観を象徴する序章だ。

“神話三部作”第二章としての『Osni the Flare』

『Osni the Flare』は、2023年作『Tin Iso and the Dawn』に続く“神話三部作”の第二章にあたる作品。火の発見をきっかけに、一人の存在が人間から神へと変容していく物語が、全4幕構成で描かれる。

物語の主人公は、庭で目覚めた存在「Osni」。一本の木を守るために旅立ち、鳥に導かれ、ドラゴンの腹の中で“熾火(embers)”を見つけ出す。火は誕生するが、やがて海の神Isoによる洪水が訪れ、Osniは死を迎える。影の世界で再生し、「Osni the Flare」として神へと至る──本作は、創造と喪失、死と再生を内包した壮大な創世神話である。

Artist: Tristan Allen
Title: Osni the Flare

Label: PLANCHA / RVNG Intl.
Cat#: ARTPL-251 (CD)
Format: CD / Digital

※日本独自CD化
※解説付き予定

Release Date: 2025.03.27
Price(CD): 2,200 yen + tax

子どもの感触を宿した、より“人間的”なサウンド

前作が神々の視点を感じさせる俯瞰的な作品だったとすれば、本作はより人間的で、子どものような感触を強く帯びている。
言葉を持たないヴォーカル、オルガン、オカリナ、無数のトイ楽器、ミュージックボックス、フィールドレコーディング。これらが緻密に編み込まれ、幻想と現実の境界が曖昧な音世界を形作る。

ピアノは“帰還”を象徴するモチーフとして冒頭と終章に配置され、生者の世界、狭間の世界、彼岸という三つの領域を横断する構成は、聴き手自身が物語を追体験するよう設計されている。

ブルックリンの自宅から生まれた、密やかな音の宇宙

録音の大半は、ブルックリンの自宅アパートで行われた。玩具ピアノ、壊れかけのCASIO SK-1、バリ島のスリン、中国の土産物店で見つけたフルート、鳥や亀の形をしたオカリナ、数え切れないほどのベルとミュージックボックス。それらは一音ずつ丁寧に録音され、再構築されていく。

炎の音はピアノ鍵盤を爪で弾くクリック音から生まれ、ドラゴンの声はAllen自身が作り上げた架空言語で語られる。こうした細部への偏執的なまでのこだわりが、幻想世界に“実在感”を与えている。

パペット、音楽、光──総合芸術としての完成度

『Osni the Flare』は、単なるアルバムにとどまらない。トリスタン・アレン自身によるアートワーク、パペット表現、舞台照明の設計に至るまで、音楽・物語・視覚表現が完全に同期した総合芸術作品として構築されている。

ミックスはPaul Corley、マスタリングはStephan Mathieuが担当。音響面でも極めて高い完成度を誇る。パペッティアとしての訓練と経験が、音楽制作の細部にまで影響を及ぼしている点も、本作ならではの魅力だ。

「Act I: Garden」が開く、神話への入口

先行シングル「Act I: Garden」は、静かな囁きから始まり、次第に音の密度を増していくアルバムの導入部。フルートやオカリナ、ミュージックボックス、言葉を持たないハミングが折り重なり、聴き手をOsniの世界へと誘う。

神話とは何か。音楽はどこまで物語になり得るのか。『Osni the Flare』は、トリスタン・アレンが長年構築してきた幻想世界の中で、“火”と“神話”の誕生そのものを描き切った決定的作品である。

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