
世界的ピアニスト、アリス=紗良・オットが、現代音楽/映画音楽の巨匠ヨハン・ヨハンソンの楽曲をソロ・ピアノで再構築したアルバム『ヨハン・ヨハンソン:ピアノ作品集』を、2026年3月6日にリリースすることが発表された。全30曲を収録した本作は、ヨハンソン作品のソロ・ピアノ録音として世界初となる記念碑的な一枚だ。
映画音楽から実験音楽まで──作曲家の全軌跡をたどる選曲
本作に収められるのは、『エングラボルン』『オルフェ』『フォードランディア』といった代表的スタジオ・アルバムから、映画『博士と彼女のセオリー』『IBM 1401, A User’s Manual』などの映画音楽まで。ヨハン・ヨハンソンのキャリア全体を横断し、その音楽言語の核心を、ピアノ一台で浮かび上がらせる構成となっている。
先行配信曲として公開された「メロディア(iii)」は、旋律の奥に潜む静かな祈りと緊張感を際立たせ、本作の方向性を明確に示す一曲だ。
会えなかった作曲家と、音楽を通して対話する
2018年に急逝したヨハン・ヨハンソンと、アリス=紗良・オットは生前に直接会うことは叶わなかった。それでも彼女は、録音に向けてヨハンソンの友人や仕事仲間と時間を共有し、作曲家の思想や人柄を丁寧に受け取っていった。録音は、彼の盟友でもあったプロデューサー、ベルグル・ソリッソンのレイキャヴィク・スタジオで行われている。
アリスはこう語る。
「彼の音楽には、特別な親密さと切迫感があります。現代社会のノイズの中で、人々が無意識に求めているものに、静かに語りかけてくるのです」
建築的で、内省的──ピアノが照らすヨハンソンの本質
重厚なオーケストレーションや電子音響で知られるヨハンソンの作品は、ピアノに置き換えられることで、その構造美と感情の芯がより鮮明になる。音と音の間に宿る沈黙、反復が生む集中、建築物のように組み上げられたフレーズ。そのすべてを、アリス=紗良・オットは繊細かつ大胆にすくい上げていく。
本作は、単なるカバー集ではなく、作曲家の精神と向き合うための再解釈であり、ピアノという楽器の持つ可能性を再提示する試みでもある。
音楽体験を再定義し続けるピアニストとして
世界で最も多くストリーミングされるクラシック・ピアニストの一人として知られるアリス=紗良・オットは、常に「聴く体験」そのものを問い直してきた。建築や映像とのコラボレーション、現代作曲家との共同制作など、ジャンルを越えた活動は、本作にも確かな説得力を与えている。
『ヨハン・ヨハンソン:ピアノ作品集』は、彼女のキャリアにおいても、そしてヨハンソンの音楽を受け継ぐ試みとしても、極めて重要な位置を占める作品となるだろう。

リリース情報
アリス=紗良・オット
『ヨハン・ヨハンソン:ピアノ作品集』
発売日:2026年3月6日(金)
仕様:UHQ-CD
価格:3,300円(税込)
レーベル:ユニバーサル ミュージック クラシックス
