
再構築された「Selector 2025」を中心に、北米〜欧州のアンダーグラウンド勢が集結
カナダ出身の電子音楽プロデューサー Rezz が手がけるレーベル HypnoVizion が、レーベル初となるコンピレーション作品『Auditory Illusion Vol. 1』をリリースした。
全11曲からなる本作は、インダストリアル、エクスペリメンタル・ベース、ミッドテンポを軸に、北米と欧州の新鋭アーティスト10組をキュレート。HypnoVizionが描く“暗黒で没入的、そして規格外のサウンド美学”を鮮烈に提示する一作となっている。
中心に据えられるのは、Rezz自身が2016年に発表した人気曲「Selector」の2025年版リメイク。近年の「Contorted」「Telepathy」と同様に、過去作を新しい視点でアップデートする手法は、Rezzが持つ創造性の進化を象徴している。
HypnoVizionが導く“もうひとつの世界”への没入
『Auditory Illusion』は、タイトル通り“聴覚の錯視”をテーマにしたかのような、不可思議で催眠的なサウンド体験となっている。
その旅路は、CABLEの電流のような「Midnight Animal」、プロデューサーVVNによる美しさとノイズが同居する「To Bleed Without Color」から始まり、Blood Visionの不穏な「Arachnophobia」、Bardeaのハードインダストリアル「METALHEAD」と、次々に異なる景色へと移り変わる。
SHSTRのテクスチャー主義的「Floating Sky」、ワルシャワ拠点のVoidnetによる漆黒のベース「No Lights Ahead」、フランスのRubiが手がけるメロディックかつ凶暴な「No Exit」など、いずれも“レーベルならでは”の暗黒エネルギーを湛えている。
さらにVAKRMの「Stormbound」、デンバーのMLOTIKによる破壊的な「DISRUPT」、デンマーク新鋭Voliikの「Careless」と、後半はより攻撃的かつ実験性の強いトラックが登場。HypnoVizionが提示するビジョンが、単なるコンピレーションの枠を大きく超えていることを証明する。











Rezzが切り開く“オルタナティブ・エレクトロニック”の最前線
2025年のRezzは、5作目のアルバム『As The Pendulum Swings』、自身の新イベント PORTAL、そして恒例の REZZ ROCKS の開催など、キャリアのハイライトを更新し続けている。その中で本作『Auditory Illusion Vol. 1』は、アーティストとしてだけでなく“キュレーターとしてのRezz”の視点を強く打ち出すものだ。
HypnoVizionは2022年の立ち上げ以降、What So Not、1788-L、Super Future などの実力派から、EDDIE、X1-Y2、fknsyd、FISE といった次世代まで、多彩で異端的なアーティストを受け入れるプラットフォームとして急速に存在感を増してきた。
本作はその流れをさらに推し進め、“オルタナティブ電子音楽の未来地図”を描く一歩となるだろう。
トラックリスト
- Rezz – Selector (2025 Remake)
- CABLE – Midnight Animal
- VVN – To Bleed Without Color
- Blood Vision – Arachnophobia
- Bardea – METALHEAD
- SHSTR – Floating Sky
- Voidnet – No Lights Ahead
- Rubi – No Exit
- VAKRM – Stormbound
- MLOTIK – DISRUPT
- Voliik – Careless
