Mom Tudie、新作『As the Crows』でたどる“記憶の家”への帰還 ── 喪失と再生を静かに紡ぐ、最もパーソナルなアルバム

祖父母の家で紡がれた、記憶と愛の物語

サウスロンドンのプロデューサー Mom Tudie が、ニューアルバム『As the Crows』を11月21日(金)にリリースする。自身のキャリアの中でも最も内省的でパーソナルな作品であり、テーマとなるのは“記憶”“愛”“いなくなった人の気配が今も残る場所”である。

制作の中心となったのは、ニュー・フォレストの外れに佇む亡き祖父母の家。時が止まったようなその空間で、Mom Tudieは静かにルーツと向き合い、世代を超えた対話のように音楽を紡いでいった。そこで生まれたサウンドは、懐かしさと温もり、そして新たな息吹が優しく混じり合う。

“カラスが帰ってくる木”が示す、喪失と継承

庭に立つ一本の木には、夏の黄昏時になるとカラスたちが集まってくる。幼いMom Tudieにとって、その光景と鳴き声は生活の一部であり、アルバムのタイトルにも深く結びついている。

祖父母への愛情と喪失の痛みは作品全体に漂い、とりわけ冒頭の2曲は祖父へ宛てた手紙のような親密なトーンで綴られている。電気ヒーターのかすかな音、手作りのキルト、足元で眠る愛犬Eddie ── そんな静かな生活音が、音楽の奥に柔らかく息づく。

揺らぐ感情、強さとして立ち上がるソウル

本作はR&B/ソウルを基盤にしながら、オルタナティブやネオソウルの質感を纏い、Mom Tudieの感情が繊細に浮かび上がる。

リード曲「Under Attack」では、新しい関係を築こうとしながらも、そのスピードに心が追いつかず“世界に少しだけ立ち止まってほしい”という切実な願いが歌われる。恋愛の揺らぎ、祖父母の強い絆、そして自身の再生——そのすべてがアルバムの中で一つの物語として響き合う。

“帰ること”をテーマにした、静かなソウルの旅路

夕暮れとともに木へ帰ってくるカラスのように、『As the Crows』は“帰る場所”をめぐるアルバムである。家へ、自分へ、そして温かい記憶へ——。

聴き終えたあとにそっと残る余韻は、Mom Tudieが自身のルーツを丁寧に見つめなおした証であり、音楽が記憶を照らす力を改めて思い出させてくれる。

作品情報

アーティスト: Mom Tudie
タイトル: As the Crows
ジャンル: R&B/Soul, Alt-R&B, Neo-Soul
配信開始日: 2025年11月21日(金)
レーベル: SWEET SOUL RECORDS
配信リンク: https://lnk.to/mom_tudie_ATC

TRACKLIST
01. As the Crows
02. Come Home to Roost
03. Under Attack
04. Bloodshot
05. Don’t Hate Me
06. For 2 (Interlude)
07. Migrate
08. Backseat
09. Daylight Dreaming
10. Find Love
11. Devil on My Shoulder
12. Lights Go Down

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