Taichi Chishaki、新作『Peractorum I I』で描く静謐なる記憶の風景 ── ポストクラシカルの最前線から

ポストクラシカル・シーンで注目を集めるピアニスト/作曲家、Taichi Chishakiが、ニューシングル『Peractorum I I』を2025年4月25日にリリースした。本作は、ピアノとストリングスによる連作「Peractorum」シリーズの第2作目にあたる。

レーベルは、2024年クリスマスに『The Garden』を世に送り出したポストクラシカル専門レーベル「NEXTVIEW Labels」。配信は各種ストリーミングサービスおよびダウンロードサービスにて行われている。

“懐古”を音で描く、シリーズ第2章

「Peractorum」とは、ラテン語で「懐古」を意味する言葉である。Chishakiはこの語をコンセプトに、個人的な記憶や心象を音へと変換している。前作『Peractorum I』ではピアノが中心だったが、本作『Peractorum I I』では、ピアノとストリングスを音響的に組み合わせ、あえて明確な主題を排した構成となっている。

Taichi Chishaki自身は以下のように語る。

「懐古的な作曲技法と現代的な音響効果を合わせもった作品で、非対称性を主題としたEPの中の1曲です。過去に経験した心情を元にしており、ミニマルなリズムを通して心地よいサウンドを構築するように作られています。」

静謐なピアノの旋律に、淡く重なるストリングス。その響きは、物寂しさを漂わせつつも、どこか光を灯すような温かみを含んでいる。記憶の襞にそっと触れるような音世界は、聴く者それぞれの“懐古”を呼び起こすだろう。

クラシックと現代のあいだで揺らぐ音楽

東京出身のTaichi Chishakiは、東京藝術大学音楽学部作曲科を卒業。祖父の影響で幼少期より日本の伝統音楽にも親しみ、クラシックを軸に映像音楽や現代音楽など幅広い作曲活動を展開してきた。2021年より自身のピアノ曲の発表をスタート。2022年に発表した『Nocturnes op.3』はヨーロッパで1,000万回以上の再生数を記録し、国際的な評価を確立した。

影響を受けた作曲家として、ベートーヴェン、ショスタコーヴィチ、そして坂本龍一の名を挙げていることからも、彼の音楽が古典と現代を自在に往還するものであることが伺える。

『Peractorum I』と共に、心で聴く音楽体験を

本作『Peractorum I I』は、前作と合わせて聴くことでその魅力がより立体的に浮かび上がる。響きに身を委ね、旋律の中に込められた記憶や感情を感じ取ってみてほしい。

なお、本作はデジタルディストリビューター「ZULA」がサポートするアーティストの一人としても紹介されており、インディペンデントな活動の中で国際的な注目を集めるChishakiの今後にも引き続き注目したい。

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「Peractorum I I」Taichi Chishaki


作曲/編曲:Taichi Chishaki
プロデュース:Jamie Nakamura
レーベル:NEXTVIEW Labels
リリース日:2025年4月25日
配信リンクhttps://zula.link-map.jp/links/u8NWG7QL

Taichi Chishaki Instagram

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