動きの軌跡が線になる──小畑多丘『MYMOVE』、アニエスベー ギャラリー ブティックで開催

彫刻の「逆」を描く。身体と時間の新たな記録

アニエスベー ギャラリー ブティック(東京・南青山)にて、彫刻家・小畑多丘による個展『MYMOVE – 彫刻の逆のドローイング 彫刻を彫刻ではない方法で表現する』が、2025年11月15日(土)から2026年1月25日(日)まで開催される。
本展は、B-BOYとしての身体感覚と、彫刻家としての思考を交差させてきた小畑による、“動きを描く”挑戦である。

彫刻を超えていく思考の軌跡

小畑多丘は、ブレイクダンスの凍結的なポーズ「フリーズ」を木彫で再構築した「B-BOY」シリーズで知られる。しかし、彼の探求は立体表現の枠に留まらない。彫刻のためのスケッチを出発点に、「彫刻を逆転させる」ドローイングを描き始めた彼は、塗料の量や動作そのものを「彫刻的な行為」として捉え直していく。絵の具を塊として扱い、ヘラで動かし続ける――その行為の中に、形が変化し、紙に残る“動きの痕跡”が生まれる。

小畑は語る。

「彫刻は理想の形を時間をかけて作る。ドローイングは現実の動きを一瞬で定着させる。
彫刻を彫刻ではない方法で表現する ── それが私のドローイングです。」

空間全体が「ドローイング」になる展覧会

本展では、ドローイング作品を中心に構成し、ギャラリー空間そのものを「動きのキャンバス」として再構築。柱、ガラス、くぼみといった建築的要素を取り込みながら、彫刻的な思考を空間全体に展開する。彫ることではなく、動かすこと、触れること、描くことによって生まれる「彫刻の逆」が体感できる場となるだろう。

B-BOYの身体から生まれるアート

1980年生まれの小畑は、東京藝術大学彫刻科を修了。1999年にはヒップホップチーム「UNITYSELECTIONS」を結成し、B-BOYとしても活動してきた。彼の木彫作品は、ダンスの軌道や衣服のしなりをリアルに捉え、動きの中に宿る緊張感とリズムを可視化してきた。その表現は常に「身体」と「空間」の関係性を問い直し続けている。

T-shirts d’artistes! ─ ドローイングを纏う

また、小畑のドローイング作品は、アニエスベーのアーティストTシャツシリーズ「T-shirts d’artistes!」にも登場。
1994年、キューバ出身のアーティスト フェリックス・ゴンザレス=トレスの提案から始まった同シリーズは、アートを日常に取り込む試みとして続けられている。
小畑は今回、ドローイングをTシャツという新たな“キャンバス”に転写し、展覧会と連動して発表する。

販売店舗:アニエスベー ギャラリー ブティック、青山店、渋谷店、京都BAL店、大阪心斎橋店、オンラインブティック
価格:16,500円(税込)

彫刻が、動き、描かれる場所へ

「MYMOVE」というタイトルには、ブレイクダンサーとしての“ムーブ”と、アーティストとしての“自らの一手”という二重の意味が込められている。動きと形、瞬間と永続 ── その狭間に立つ作品群が、観る者に“身体で感じるアート”を問いかける。

会期:2025年11月15日(土)〜2026年1月25日(日)
会場:アニエスベー ギャラリー ブティック(東京都港区南青山5-7-25 ラ・フルール南青山2F)
時間:12:00〜19:00 ※月曜休廊(11/24・1/12を除く)、冬季休廊 12/27〜1/5

アニエスベー ギャラリー ブティック公式Instagram:
https://www.instagram.com/agnesb_galerie_boutique/

――動くことが、彫ることになる。
その瞬間を、青山で目撃してほしい。

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