
VETHELの特集企画「音楽と〇〇」は、音楽と寄り添うさまざまなサブカルチャーとの交わりを探るインタビューシリーズ。〇〇はアートやゲーム、漫画、映画、ガジェット、建築、グルメ、旅行、乗り物、スポーツ、アウトドア……など何でもあり。音楽とその界隈の関係を語っていただきます。今回のゲストは?
故郷・北海道を離れ、ステージに立つ生活を選んだ無名上京アイドル・れな。人から見られる仕事を続ける中で、彼女にとって欠かせない場所がある。それは、ひとりで過ごすカフェ。抹茶ラテを前に、イヤホンで音楽を流し、ノートを開く。そこでは誰にも気を遣わず、飾らず、迷いも焦りもそのまま書き出せる。舞台の上で光を浴びる自分とはまるで対照的な、静かな時間だ。しかし、その静けさがあるからこそ、ステージのれなは真っ直ぐに立てるのだという。「自分に嘘をつかずにいられる場所が必要なんです」。カフェは心を整える場所、ステージは心を解き放つ場所。ふたつを行き来しながら立ち続ける、れなの“今”を聞いた。

上京はタイミングに恵まれた感じ
VETHEL まず、出身はどちらですか?
れな 北海道です。姫歌と同じで、ふたりだけ北海道組なんです。
VETHEL なぜ上京しようと思ったのでしょう?
れな もともと芸能活動に興味があって、いつか東京に住んで活動したいと思っていました。当時通っていた養成所の方に「受けてみないか」と今の事務所のオーディションを紹介されて、それがちょうど“上京者限定”だったんです。受けたら合格したので、その機会に東京へ出てきました。ずっと住みたいと思っていたので、タイミングに恵まれたなって感じです。
VETHEL 北海道で養成所に通っていたころは、どんな音楽を聴いていましたか?
れな すごく幅広く聴いていましたね。K-POPもJ-POPも。私はダンスボーカルユニットにいたので、E-girlsさんやハロプロさん、Juice=Juiceさんもよく聴いていました。男の子のグループ曲も多くて、BE:FIRSTさんやavex系グループ、Da-iCEさんも練習でよく使っていました。
カフェは“ひとりで落ち着ける場所”
VETHEL 一方で、カフェ巡りはどうして好きになったんですか?
れな 最初は全然興味なくて(笑)。でも友達がカフェ巡り好きで連れていってもらってただけなんです。その後一人暮らしを始めて“ひとりで落ち着ける場所”が必要になったんです。休みの日にふっと気持ちを整えられる、リフレッシュする場所として、カフェに行くようになって、そこからハマりました。
VETHEL お気に入りはありますか?
れな チェーン店が多いです(笑)。スタバとか、ドトールとか。北海道にいたころは「nana’s green tea」という抹茶のお店があったので、そこによく行っていました。抹茶が好きなんです。
VETHEL カフェで過ごすとき、どんな気持ちになりますか?
れな 自分に正直になれる時間です。私は流されやすくて、人の意見をそのまま受け取りすぎちゃうところがあるので、ひとりの時間がないと“本当の気持ち”が分からなくなるんです。カフェでは音楽を聴きながら、ノートに「今の気持ち」や「やりたいこと」を書いています。落ち着かないとき、気持ちが迷うときは、必ず行きますね。
VETHEL カフェではどんな音楽を?
れな そのときの気分で変わりますけど、自己肯定感が上がる、自信が持てる系のプレイリストみたいなのをYouTubeで探してよく聴きます。夜はバラードや泣ける系の曲が多いですね。自分の気持ちと向き合う時間になります。
自分に嘘をつかなくていい空間は落ち着きます
VETHEL 居心地のいいカフェと、居心地のいいステージ。その共通点は?
れな 「自分らしくいられること」です。自分に嘘をつかなくていい空間は落ち着きます。逆に、居酒屋みたいに声が大きすぎたり、タバコの臭いが強いようなカフェは苦手です。
VETHEL もし“自分を表現するカフェ”を作るなら?
れな ふわふわのYogiboみたいな、“人をダメにする”ソファをたくさん置いて(笑)、顔をうずめて休める場所。ひとりでいたい人がちゃんとひとりになれる作りにしたいです。回転率は悪いかもだけど(笑)。
VETHEL 韓国にいた時期もあるんですよね?
れな K-POPアイドルに憧れて、非公開オーディションに受かって韓国に行きました。でもコロナでプロジェクトがなくなってしまい、強制帰国になりました。3〜4ヶ月くらいいたのかな。でも、韓国留学の経験は、言語が違う環境だったので、自分から動かなきゃいけなかったんです。日本語を話せる人もいないし、一人で行ったので助けてくれる人もいない。だから友達を作るにも、まず「自分がどう動くか」が大事でした。韓国語も自分で調べて覚えて、実際に使いながら生活していく中で、「あ、自分って一人でも意外とできるんだ」と思える瞬間が何度もあって。そこで身についた行動力とか、自分で考えて動く思考は、今の自分にすごく繋がっていると思います。
VETHEL 韓国では滞在中、カフェに行きましたか?
れな 行きました。韓国は本当にカフェが多い国だなと思います。街を少し歩けばすぐ次のカフェがあって、道路を挟んで向かい合っていることもよくあります。おしゃれな大きいカフェも多くて、全体的に「カフェ文化」が根付いている印象ですね。私が住んでいた江南区は芸能事務所が多いエリアだったこともあって、どのカフェも利用する人がとても多く、いつも混んでいるイメージがありました。日本は静かに作業している方やお一人の利用が多い印象ですが、韓国では友達同士で話したり、ワイワイ過ごしている人が多いです。カフェの使い方自体が、国によって違うんだなと感じましたね。
自分を理解して、自分らしく見せている子に惹かれる
VETHEL ところでカフェで歌詞を書いたりするんですか?
れな すごく悩んでいた時期はノートに気持ちを書きました。次の日見ると恥ずかしいんですけど(笑)、いつか歌にできたらいいなって思っています。
VETHEL 「SNSで見るかわいい子やかわいいものに惹かれる」とおっしゃってますが、かわいいと思う基準は何でしょうか?
れな 自分を理解して、自分らしく見せている子です。「私はこうしたい」がわかっていて、それを表現できている子。自己プロデュースが強い子に惹かれます。自信がある子って、やっぱりステージ上で目立つと思うんです。といっても、普段から強気なタイプというより、「ここでは私を見てほしい」という真っすぐな気持ちをきちんと出せる子。アイドルを見ていて「この子、レベチだな」と感じる子は、大抵そういうまっすぐさを持っている。自信があるかどうかとは別として、ステージに立った瞬間に「私を見て」と自然に伝えられる。その空気が、観ている側にしっかり届くんです。
VETHEL れなさんが憧れているアイドルが100%だとしたら、今の自分は何%ですか?
れな 15%。これから伸びるしかないです(笑)。
ステージで自分を表現している瞬間が、一番幸せ
VETHEL れなさんは「打たれ弱い」と公言しているのに、なぜステージに立ち続けられるんですか?
れな ステージで自分を表現している瞬間が、一番幸せだからです。弱さより、幸せが勝っちゃう。
VETHEL 最後に、札幌ドームが目標だと聞きました。
れな はい。以前、Nissyさんのライブでバックダンサーとして札幌ドームに立ったことがあるんです。その景色が忘れられなくて。泣きそうになるくらい感動して、「ここにもう一度、自分の力で立ちたい」と思いました。
VETHEL 応援しています。
れな ありがとうございます!

Interview & Text : VETHEL
11月30日(日)、五反田G3にて無名上京アイドルが出演「JOY FES 2025」











