[音楽と〇〇]歌で届ける、言葉以上の物語 ── 無名上京アイドル・彩叶が語る音楽とドラマの交差点

VETHELの特集企画「音楽と〇〇」は、音楽と寄り添うさまざまなサブカルチャーとの交わりを探るインタビューシリーズ。〇〇はアートやゲーム、漫画、映画、ガジェット、建築、グルメ、旅行、乗り物、スポーツ、アウトドア……など何でもあり。音楽とその界隈の関係を語っていただきます。今回のゲストは?

関西でひっそりと歌手活動を続けていた彩叶(あやか)さんは、22歳の節目に大きな決断を下し、上京。アイドルという未知の世界に足を踏み入れ、グループ活動を通じて新たな表現の可能性を見つけてきた。バラードを中心に、曲の登場人物の感情を丁寧に読み解き、歌詞に命を吹き込む彼女の歌唱は、単なるパフォーマンスを超え、聴く者に“ドラマ”を感じさせる。映画やドラマに心を動かされることで育まれた感受性は、ステージ上でも存分に発揮される。初ライブでファンの笑顔を目にした瞬間、「ここからアイドルとしての物語が始まる」と確信した彩叶。音楽とドラマ、その交差点で生まれる彼女の表現の魅力に迫るインタビューとなった。

夢乃彩叶:2025年6月に奈良から上京し、歌手活動の経験を活かし、アイドルとして「歌で人を勇気づける」ことを目標に活動している 。特技は作詞作曲。芸歴では、2024年【トロット・ガールズ・ジャパン】に出演 。2025年にはOTONOVA Zepp新宿で準グランプリを獲得し 、広瀬香美コーラス隊も務めた 。
目次

私、アイドルできるかな?

VETHEL そもそもなぜ上京しようと思ったんですか?

彩叶  ずっと関西で活動していきたい気持ちはあったんですけど、実はアイドルをやりたいとは思ってなかったんです。でも22歳になる年で、「チャンスがあるなら上京してでも頑張りたい」と思って東京に出てきました。

VETHEL  元々アイドルには興味がなかった?

彩叶  そうですね。どちらかというとなかったです。

VETHEL  じゃあ音楽の方に興味があった?

彩叶  はい。歌に興味があって、ずっと一人で歌手活動をしていました。でも一人でやるのにも限界を感じていた頃に、ボイストレーニングの先生から「こういうオーディションがあるよ」と教えてもらって。それが今回のアイドルオーディションでした。

VETHEL  「アイドルか……」と少し戸惑いも?

彩叶  ありましたね(笑)。「私、アイドルできるかな?」って、ちょっとはてなマークが浮かびました(笑)。

歌は好きだったんですけど、人前で歌うのが苦手で(笑)

VETHEL  元々はどういう音楽が好きなんですか?

彩叶  バラード調の曲が好きで、踊るよりもしっとりと“人に伝える”タイプの音楽が好きです。

VETHEL  好きなアーティストは?

彩叶  絢香さんとか、あいみょんさんです。どちらも作詞作曲を自分でされていて、曲の内容もすごく良いなと思ってよく聴いていました。

VETHEL  歌い始めたきっかけは?

彩叶  歌は好きだったんですけど、人前で歌うのが苦手で、カラオケに行ってもあまり歌わなかったんです。でも母が「ボイトレ、一回行ってみたら?」と言ってくれて。カラオケで褒められることもあったので、「ちょっとやってみようかな」と。最初は趣味のつもりでしたが、2~3ヶ月後の発表会で歌ったときに、音楽教室の代表から「プロコースに行かないか」と声をかけてもらって。それで真剣に音楽を考えるようになりました。

VETHEL  音楽をやっていなかったら、何をしていたと思いますか?

彩叶  家族が経営している仕事を手伝っていたと思います。最初は音楽も趣味として続けるくらいの気持ちでした。

VETHEL  上京は大きな決断でしたね。

彩叶  そうですね。プロコースに進んでからは「音楽でやっていきたい」という気持ちに変わっていましたが、やっぱり親元を離れるのは不安で、東京に対して「怖い」というイメージもありました。

一人では出せない声の重なりや雰囲気が生まれるのがグループの魅力

VETHEL  今はグループ活動をしていますが、一人のときと比べてどうですか?

彩叶  グループだと一人では出せない声の重なりや雰囲気が生まれるのが魅力です。MCも一人だと苦手で、頭が真っ白になっちゃうこともありますけど、グループだと助け合いができます。お互いにフォローし合えるのはすごくいいですね。ただ、パートが分かれるので、1曲をまるまる歌えないのは少し物足りない気持ちもあります。

VETHEL  ドラマや映画鑑賞が趣味とのことですが、印象に残っている作品は?

彩叶  映画だと『そして、バトンは渡された』(2021年)です。家族のあたたかさが描かれていて、家族が好きな私にはすごく響きました。ドラマだと『silent』(2022年)。手話で思いを伝えるシーンが多くて、言葉以上のものを伝えるって素敵だなと。音楽でも、言葉を超えて何かを届けたいという気持ちがあります。

VETHEL  感動系が好きなんですね。

彩叶  はい。怖い系やスリラー系は全くダメです(笑)。

曲の中にいる登場人物の気持ちを考えながら歌う

VETHEL  歌うときに“ドラマ”を感じさせるような表現って意識してますか?

彩叶  曲の中には登場人物がいると思って、その人の気持ちを考えながら歌っています。悲しい気持ちや明るい気持ちを意識すると、自然と歌い方や表情も変わってきます。

VETHEL  歌詞も重視している?

彩叶  そうですね。曲を聴くときもまず歌詞を見ます。曲が良くても歌詞にグッとこないと響かない。逆に歌詞がいいと自然と引き込まれます。

VETHEL  ご自身でも作詞作曲されていますよね。曲作りはどんなふうに?

彩叶  最初は歌詞を先に提出していましたが、今はメロディを先に考えて、そこに合う言葉を当てていくことが多いです。

VETHEL  思いつくタイミングは?

彩叶  考えようと思って考えるタイプです(笑)。時間があるときに「今から作ってみようかな」と。

VETHEL  楽器は使いますか?

彩叶  最初はギターでコードを弾いて作っていましたが、最近はピアノでも考えるようになりました。音を試しながらメロディを作ります。

VETHEL  持ち曲はどれくらいですか?

彩叶  10曲くらいあります。1曲はレコーディングまでしていて、本当はサブスクに出す予定だったんですけど、上京したタイミングで一旦止めています。

無名上京アイドル:(左から)結名、愛蘭、彩叶、れな、姫歌

「私はアイドルはしない」と公言してた(笑)

VETHEL  「音楽で人を励ましたい」という想いもあるそうですね。

彩叶  はい。5年前に、大原櫻子さんの「瞳」という曲を聴いて、「一歩を踏み出してみよう」と思えたんです。夢を追う人に向けた曲で、それがきっかけで本気で音楽をやってみようと思いました。

VETHEL  アイドルとしてのライブでも“ドラマ”を感じる瞬間はありますか?

彩叶  あります。ずっと一人でやっていたので、ファンの方がアイドルとしての自分を受け入れてくれるか不安でした。しかも「私はアイドルはしない」と公言してたので(笑)。でも初ライブでファンのみんなが笑顔で見てくれて、「ここからアイドルとしてスタートなんだ」と感じました。

VETHEL  その頃のファンが今も応援してくれているんですね。

彩叶  はい。関西から東京まではなかなか来られない方も多いんですけど、それでも応援してくれるのが本当にうれしいです。

VETHEL  演技やドラマ出演にも興味はありますか?

彩叶  あります。まだ自分が演技している姿は想像できませんが、いつか挑戦したいです。怖い作品は苦手なので(笑)、恋愛系のドラマに出てみたいです。

VETHEL  音楽とドラマが一つになる瞬間ってありますよね。

彩叶  そうですね。映画やドラマを観ていて、音楽が流れた瞬間に泣くことがあります。音楽がないドラマは感動が薄れてしまうと思うので、両方がすごく大事だなと感じます。

VETHEL  将来的にドラマの主題歌を歌ってみたい?

彩叶  主題歌を担当してみたいです。本当に頑張りたいです。

VETHEL  期待してます。ありがとうございました。

彩叶  ありがとうございました。

Interview & Text : VETHEL

11月9日(日)、無名上京アイドルが出演「アイチャレ LIVE RUSH」

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