アナログの温度が灯す夜 ── Parallelle、新作『11th Avenue』で描く都会の鼓動と魂のジャズ

ニューヨークの夜に響く、アナログの温度

フランス出身の兄弟デュオ、Parallelle(パラレル)が最新アルバム『11th Avenue』をリリースした。リスボン拠点のレーベルFOLDERからの発表となる本作は、アナログ機材と生演奏を軸に、80年代ニューヨークのジャズ・ラウンジを想起させるムーディな質感を、現代的なクラブサウンドと交差させた意欲作である。
フルトーン、ニコラス・マセイエフ、ディーノ・レニー、アリーシャ・ジョイら多彩なアーティストが参加し、ジャズ、ソウル、クラシック・ハウスを再構築。親密なラウンジから巨大フェスのステージまで響き渡る“有機的グルーヴ”が貫かれている。

カオスから生まれた奇跡──ディーノ・レニーとの共作「The Collab」

アルバムを象徴する1曲が、Dino Lennyとの共作「The Collab」だ。2000年代初頭のフレンチ・ハウスを思わせるファンキーなトラックで、ベースにはアレッサンドロ・マッツィエリが参加。制作のきっかけは、Tomorrowland Winterへ向かう道中の“渋滞”。そこで偶然生まれた奇妙なユーモアと即興のやり取りが、後にトラックへと昇華されたという。
「彼が僕らの会話を録音して、フランス訛りのモノローグとして再構築した。その音声だけでもアルバムのハイライトになり得る」と彼らは語る。混沌から生まれる創造の瞬間──それこそが『11th Avenue』の根幹にある。

ジャズ、ソウル、クラブミュージックが溶け合う11の景色

滑らかなベースと霧のようなシンセが漂う「Tastes Like Gold (feat. JoLy)」、2ステップ的なリズムにファルセットが舞う「Searching For The Groove」、アリーシャ・ジョイのヴォーカルが映える未来的テックハウス「Mind, Body & Soul」──いずれの楽曲も、Parallelle特有の“温度感ある洗練”が光る。
アナログの粒立ちとライブ感が全編を貫き、都市の夜を彷徨うような感覚と、そこに潜む人間の鼓動を巧みに描き出している。

世界を旅する音──ツアーとカルチャーの融合

『11th Avenue』の発表に合わせて、Parallelleは北米ツアーを開催。ロンドン、ニューヨーク、モントリオール、メキシコシティ、ロサンゼルスなどを巡り、ハイブリッドなDJセットとライブ演奏を融合させたステージを展開する。
さらに、ストリートウェアブランドCiaranとコラボした限定カプセルコレクションも発表。アート、ファッション、音楽が交差するParallelleらしい世界観を、衣服という形でも提示している。

音が都市を呼吸させる

コーチェラ、バーニングマン、トゥモローランドなどを経て、いまや世界のクラブカルチャーを象徴する存在となったParallelle。『11th Avenue』は、彼らが探求してきた“音と感情の普遍言語”をさらに洗練させた作品である。アナログのぬくもりと現代のビートが交錯するこのアルバムは、都市の静寂と熱狂のあいだにある“人間らしさ”を思い出させる。

配信リンク: https://orcd.co/11th-avenue
レーベル: FOLDER
ツアー情報・最新ニュース: Parallelle公式Instagram


静かな夜に、音はまだ呼吸している──それが『11th Avenue』の鼓動である。

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