楳図かずお、最後の旋律──遺された筆致が今、音を立てて甦る

最期の新作を含む永久保存版が予約開始

楳図かずおの生誕90周年プロジェクト第1弾として、『ZOKU-SHINGO COMPLETE BOX』が2025年11月28日に発売される。A4特大の豪華2冊セットは、2022年の「楳図かずお大美術展」で発表された最期の新作『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』と、『わたしは真悟』の全扉絵を収めた『扉絵全集』を一箱に収めた永久保存版である。発売に先立ち、全国書店およびオンラインで予約受付が始まっている。

“着彩”と“素描”、原画に近い質感で再現された最期の作品

『ZOKU-SHINGO 小さなロボット シンゴ美術館』には、着彩画101点に加え、線の力が際立つ素描101点を収録。すべてのページは原画と照らし合わせ、色味や質感、細かな筆致まで再現することにこだわって編集されている。楳図の筆致は大判になるほどに力を増す――本ボックスは、その迫力を”手の届く場所”へと引き戻す書籍になっている。

未発表原稿も含む『わたしは真悟 扉絵全集』

『わたしは真悟 扉絵全集』は、4色・2色原稿を含む扉絵群を完全収録。さらに本書には初公開となる完全未発表原稿が3点収められており、往年のファンのみならず初めて楳図作品に触れる読者にも新たな発見をもたらす内容となっている。全ページが原画照合で再現されているため、微細な線まで愉しむことができる。

生誕90周年プロジェクトの序章──展覧会や愛蔵版企画も控える大規模計画

本ボックスは、来る2026年の生誕90周年に向けたプロジェクトの幕開けに位置づけられる。今後はB5判雑誌サイズの愛蔵版シリーズ『UMEZZ AUTHENTIC COLLECTION』の刊行(第1弾は『漂流教室』)や、海外での回顧展開催など、多面的な展開が予定されている。楳図作品の原画展は海外では初、国内でも約30年ぶりとなる大規模な回顧展が控えており、その動きは国内外での楳図再評価の確かな潮流を示している。

楳図かずおという孤高の足跡

楳図かずおは、生前から多くの表現を遺し、2024年10月28日に88歳でその生涯を閉じた。だが彼が描き残した線と物語は消えることなく、人々の記憶と感情を揺さぶり続ける。本ボックスは、そうした作品世界を”視覚的記憶”として永続させるための、編集側の総力を傾けた一大試みである。

製品情報

タイトル:『ZOKU-SHINGO COMPLETE BOX』
発売日:2025年11月28日(地域により差異あり)
価格:生誕90周年特別価格 9,000円(税別/税込9,900円)
発売元:小学館
特設ページおよび予約は小学館の案内をご参照いただきたい。


楳図の筆は終わったわけではない。紙の上で震える線が、いまも読む者の眼差しを釘付けにする。最期の新作を含むこのコンプリートボックスは、彼の仕事を「所有する」喜びと、「触れる」感動を同時に与えるだろう。

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