Økapiが誘う電子音の迷宮──R-Thor、第2章は感覚の限界を超える夜に

フィンランド発祥のスオミサウンディを軸に、電子音楽の深層を探求するパーティ「R-Thor」が第2回を迎える。開催は2025年11月2日(日・祝前日)、会場は都内某クラブ。主催のHënkįが掲げるテーマは「電子音が築くロマンチシズム」。その名の通り、音と感情が交錯する“センシティブ・エレクトロニック・ジャーニー”が繰り広げられる夜となる。

今回のスペシャルライブ・アクトには、イタリアの奇才Økapi(オカピ)が登場する。フランス系イタリア人のコラジストにして、プランダーフォニック・ミュージックの提唱者として知られるØkapiは、膨大なサンプリングを駆使し、ジャズ、テクノ、スオミ、トラディショナルまでも自在に横断する。映像的でありながら詩的な電子音の構築は、しばしば“狂気的でノスタルジック、無邪気で精巧”と形容される。そのサウンドの奔流に飲み込まれることは、音楽体験というよりも、もはや儀式的な覚醒に近い。

共演には、国内外で高い評価を得るアーティストが集結。JUNXPUNXは、Osom Musicからのリリース作『Reminder』(2014)と『mekurumeku』(2020)で見せたハイテック・サイケデリアの精髄を、即興性とシャーマニックな集中力によってライブで再構築する。彼のステージは常に“異界への入り口”として語られる存在である。

さらに、食品まつり a.k.a FOODMANが登場。『Yasuragi Land』がPitchfork「Best Electronic Music of 2021」に選出されるなど、海外フェスUnsound FestivalやLow End Theory出演を経て、世界的評価を確立した彼がR-Thorに参加する意義は大きい。ジャンルを超越するそのサウンドは、この夜に新たな重心を与えることだろう。

DJ陣には、主宰のHënkįをはじめ、テンテンコ、kippoがラインナップ。テンテンコはZVIZMOとしてのBLACK SMOKER RECORDSからのリリースに加え、EUフィルムデイズ2025でのサイレント映画『アクメッド王子の冒険』へのライブ演奏など、電子音楽家としての表現領域を拡張中である。kippoは、スオミサウンディとテクノの交差点を探るDJとして注目を集めており、硬質かつ柔軟な選曲でフロアを熱狂へ導く。

Økapiを筆頭に、各アーティストが個の美学と集団のエネルギーを持ち寄るこの一夜は、ジャンルを超えた“電子音の祝祭”である。ヘッドライナーという概念すら曖昧にし、オーディエンスの感性によって流れが変化する稀有な場。音と身体、意識が溶け合う瞬間に立ち会う者は、確かに“音楽が生きている”ことを実感するだろう。

R-Thor presents Økapi

  • 日時:2025年11月2日(日・祝前日)OPEN 22:00
  • 会場:都内某クラブ
  • 料金:当日 ¥3,000/前売 ¥2,500/23時前入場・23歳以下 ¥1,500
  • 出演:Økapi (Special Live), JUNXPUNX, 食品まつり a.k.a FOODMAN, Hënkį, kippo, テンテンコ

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