闇と汗にまみれた夢の中で──BLXK MNTN、『SWEAT EP』で描くディストピアの熱狂

漆黒のビートが誘う、機械仕掛けの深淵

アメリカのオーディオヴィジュアル・クリエイター、BLXK MNTN(ブラック・マウンテン)が、REZZ主宰のレーベルHypnoVizionから最新作『SWEAT EP』をリリースした。
全3曲からなるこの作品は、インダストリアルな質感と重低音のうねりが交錯する“漆黒のクラブ・サウンドスケープ”である。

メカニカルなビルドアップ、歪んだ質感のシンセ、そして濃密なベース。BLXK MNTNは緻密なサウンドデザインによって、冷徹さと激情が同居する空間を描き出した。EP全体を貫くのは、HypnoVizionが掲げる「催眠的グルーヴ」と「未来的な闇」の哲学である。

歪んだ感情のグルーヴ──“汗”で語る3つの物語

『SWEAT EP』は、

  1. Lost Her Soul
  2. Ghost In The Shell
  3. Sweat
    という3曲で構成されている。タイトルからも伺えるように、本作は人間性と機械の境界を彷徨う“サイバーノワール”のような物語性を帯びている。

BLXK MNTN自身は「『SWEAT』はクラブと夢のあいだにある暗い世界へのスローダイブ。Street FeverやGesaffelstein、Rezzといったアーティストから影響を受けつつ、歪んだ感情とディストピア的エネルギーを融合させた」と語る。
それぞれのトラックが独立した世界観を持ちながら、EP全体でひとつの“物語”を構成する。重く、艶やかで、どこか人間臭いビートが、リスナーの身体をゆっくりと飲み込んでいく。

アートと音の境界を越えるアーティスト

BLXK MNTNは、音楽プロデューサー、DJ、そしてイラストレーターとしても知られる。KayzoやRiot Tenといったアーティストのビジュアル制作を手掛けるなど、視覚と音を融合させた作品で注目を集めてきた。
Welcome RecordsやDeadbeatsからのリリースを経て、今回の『SWEAT EP』でHypnoVizion初登場。REZZ率いるレーベルの持つ美学と完全に共鳴しながら、よりダークで官能的な世界を提示している。

“SWEAT”が滴る夜へ──ツアーも始動

本作のリリースに合わせて、BLXK MNTNはアメリカ東海岸を巡るクラブツアーを発表した。
11月20日フロリダ州ジャクソンビルのMyth Nightclubを皮切りに、ノースカロライナ州ラリー、バージニアビーチと続く。
そのステージでは、EPの世界観を拡張したビジュアル演出と共に、BLXK MNTN独自の“音と光の体験”が展開される予定である。

終末のフロアで、誰もが踊りながら滅びていく

『SWEAT EP』は、電子音楽の持つ本能的なエネルギーと、アートとしての深度を融合させた作品である。
“踊ること”と“浸ること”の境界を曖昧にしながら、リスナーを暗闇の熱へと導く。
その汗は恐怖でも、恍惚でもない。──生きている証だ。

BLXK MNTN『SWEAT EP』
発売日:2025年10月17日
レーベル:HypnoVizion
収録曲:Lost Her Soul/Ghost In The Shell/Sweat
配信リンク:https://hypnovizion.lnk.tt/sweat

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