世界を震わせたターンテーブリズムの聖戦──DMC 40周年、東京で刻まれた新たな伝説

2025年10月10日から12日にかけて東京で開催された「DMC40 – The Greatest Ever?」が、ターンテーブリズムの新たな歴史を刻んだ。1985年の創設以来、世界中のDJが頂点を競い合ってきた〈Technics DMC World DJ Championships〉は、40周年を迎えた今年、ブラジル、フランス、日本、オーストラリアの4カ国が金メダルを獲得。50名のDJが世界中から集結し、音楽、技術、情熱が交錯する3日間となった。

世界をつなぐサウンドの祝祭、東京へ

初日は〈Monkey Shoulder Welcome Party〉で幕を開けた。DJ SARASA(日本)、DJ Uri(インド)、DJ Question Mark(台湾)、そして英国のJFBがステージを飾り、熱気に満ちた週末の幕開けを告げた。創設者トニー&ダン・プリンスの前にサプライズで登場した40周年記念ケーキは、DMCという文化の長き歩みを象徴していた。
「これほどまでに世界中のDJコミュニティが興奮している姿を見たことがない」と語るトニー・プリンスの言葉通り、会場は国境を越えた音楽愛に包まれた。

世界王者を奪還したブラジル、歓喜の咆哮

2日目、渋谷Spotify O-Eastで行われた世界決勝では、ブラジルのDJ Raylanが南米初となる世界タイトルを獲得。ディフェンディング・チャンピオンのK-Swizz(ニュージーランド)を破る番狂わせに、会場は熱狂の渦に包まれた。
続く〈Scratch部門〉では、フランスのAocizが日本のKeitaとの激闘を制し、2年連続の王者に。〈Classic部門〉では、日本のDJ FummyがK-Swizzと米国のThe Kid RC3を僅差で下し、悲願の世界一に輝いた。テクニクスのゴールド・ターンテーブルを手にしたFummyは、「DMCの文化に魅せられ、この瞬間のために挑み続けてきた。ここ日本で世界一を掴めたことに運命を感じる」と語った。

DMCが映し出した“進化する現場”

大会期間中には、新企画〈Technics Lounge〉が登場。歴代チャンピオンたちがDJ Fly、DJ Rena、DJ Michelleらとともにセッションを繰り広げ、観客は至近距離でその技巧に酔いしれた。また、日本のレジェンドDJ Hondaが〈Lifetime Achievement Award〉を受賞し、場内はスタンディングオベーションに包まれた。
最終日にはクラブ〈Harlem〉で〈AlphaTheta DMC Open〉が開催され、オーストラリアのDJ Beastmodeが初の快挙を達成。アイボリーコースト、中国、ポーランドなど各国から挑戦者が集い、世界の広がりを示した。

40年目のDMCが示した“次の時代”

DMC史上最も多様なラインナップとなった今年の大会では、最年少13歳の出場者から歴代王者、女性DJの最多参加まで、あらゆる世代が交差した。
ディレクターのアントリクス・マナオアットは「DMCの舞台に立つことは夢だった。この40周年を“黄金期の再来”のように感じた」と語り、音楽文化としてのDMCの意義を改めて強調した。

大会を支えたTechnics、AlphaTheta、Ortofon、Monkey Shoulder、UDGなどのパートナー企業に感謝を捧げつつ、創設者ダン・プリンスは「DMCの旅はまだ終わらない。次のステージへ進む」と宣言した。

40年の歴史を背負い、次の世代へとバトンを渡したDMC。ターンテーブルの上で鳴り響いた無数のスクラッチが、音楽と自由を求める人々の心に新たな火を灯した。

公式サイトdmcdjchamps.com
Instagram @dmcdjchamps

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