
渋谷駅から徒歩3分のイベントスペース兼ギャラリー「SHIBUYA XXI」では、10月1日から3日にかけて新たな展示を開催する。街のカルチャーを切り取る写真家から、ハートをモチーフに活動するストリートアーティスト、特殊メイクや造形をルーツにしたエイリアンクリエイター、そして動物の姿を描き出すイラストレーターまで、異なるジャンルで活動する4名のアーティストが一堂に会する。ここではそれぞれのプロフィールと作品世界を紹介する。
YUSA’S world ― 水彩/色鉛筆/パステル/ペン画(Fine Art)

YUSA’S world は、幼少期から一貫して“絵と共にある生活”を送り、定年を迎えた現在も、心のおもむくままに制作を続けているアーティスト。
水彩・色鉛筆・パステルでは、風景や動物の一瞬の動き、表情の変化を柔らかい筆致で掬い取る。一方で、極細ペンを用いたモノトーンの作品では、自身の好きなファンタジー世界を繊細な線で緻密に描き出し、静かに広がる“想像の宇宙”を構築している。
長年描き続けてきた中で辿り着いたのは、技巧よりも“心が動いた瞬間”をそのまま画面へ写し取る姿勢。
現実の一瞬のきらめきと、想像の世界が持つ無限の広がり——その双方を自由に行き来しながら、作品に命を吹き込んでいる。
Theme|心のおもむくままに(現実とファンタジーの往来)
Instagram| https://www.instagram.com/yusas_world/



Tomida|Photography ― Portrait(写真)

Tomida|Photography は、光が持つ“色”や“質感”を丁寧にすくい上げるポートレート作品を中心に活動している。
テーマに据えるのは、日常の中でふと訪れる「心が沈む瞬間」や、「光に救われる感覚」。その一瞬を、柔らかな色調と透明感のある質感で静かに切り取る。
近年は、深海やクラゲのような“静かで漂う世界観”に強く惹かれ、そのモチーフを人物撮影へ落とし込んでいる。どこにも触れず、どこにも縛られない浮遊感——その空気を写し取るように、自分にしか表現できない「透明感のある色」を追い求め続けている。
今回展示するシリーズは、
「深海に憧れる。もしもクラゲになれたら——」
という静かな祈りにも似たコンセプトから始まった作品群だ。
人が抱える“静かな感情”を、深海の淡い光やクラゲの漂う姿に重ね合わせ、
沈み込むような深い静けさと、そこに差し込むかすかな光。
そのコントラストを通して、「心の奥の揺らぎ」を可視化しようとする試みである。
Theme|深海に憧れる(静けさと淡い光)
Instagram| https://www.instagram.com/tomidaphotogram
Model| https://www.instagram.com/chu.na7/



なく(Naku)― ファインアート

普段はSNSに自撮りなど日常的な投稿を行う「なく」。今回は“趣味で描き続けてきた絵を見てほしい”という純粋な思いから、初めてギャラリーに参加する。
作品は、キャンバスにアクリル絵の具・水彩絵の具で描いた上から、ビーズ、刺繍パーツ、箔といった異素材を重ねる独自のスタイルで制作される。
その質感のレイヤーは視覚だけでなく触覚まで刺激し、作品と向き合う者に「言葉では説明のつかない感情」への入り口を静かに提示する。
なくは、自身が抱える“うまく言葉にできない気持ち”をキャンバスに託すように制作を続けてきた。作品はまるで日記のようであり、内面の揺らぎと美しさがひそやかに息づいている。
Theme|言葉にならない気持ちを宿す
X| https://x.com/079_en7619
Instagram| https://www.instagram.com/079_en7619/



AoEY(現代アート/画家・イラストレーター)

女子美術大学卒業後、新潟と東京を拠点に活動する画家・イラストレーター。オリジナルキャラクター『usagikigou』シリーズをはじめ、個性的なキャラクターを中心に展開する作品群で知られる。ポップなビジュアルの奥に、デジタル時代特有の空虚や混沌を内包させた表現が特徴。
制作テーマは『無意味とカオス』。デジタルネイティブ世代として育った自身の視点から、SNSがもたらす「無意味さ」や「情報のカオス」を軸に作品を構築する。SNS上にあふれる無数のつぶやきや感情の断片は、匿名性とアルゴリズムによって肥大化し、個々の心に歪みを生じさせる——AoEYはその現象を「当たり前」として受け入れてきた世代のリアルとして描き出す。
作品では、意味を持たない存在である『usagikigou』や他のオリジナルキャラクターを意図的に登場させ、「意味を持たないもの」が「意味ある文脈」に侵入することで生まれる矛盾やカオスを可視化している。その過程で立ち上がるのは、“無意味が意味を生み出す瞬間”のリアリティ。
Instagram: @ao________midori



こんにゃくちゃん(アウトサイダーアート/アーティスト)

東京生まれ。絵画や立体作品を軸に、「隠す/見せる」という二面性のテーマを探求するアーティスト。作品では、心の奥に潜む葛藤や矛盾、社会とのズレといった“見せたくない部分”を、あえて装飾的で鮮やかな造形へと転化させていく。美しさの裏側に潜む不安や混沌を可視化することで、見る者の感情を揺さぶる表現を試みている。
Born in Tokyo. Creates paintings and sculptures exploring the duality of “hidden / revealed.” Also develops gold-based accessories with street-inspired elements. Seeks to transform inner conflicts and contradictions into beauty.
制作テーマは『Chaos / Order(混沌/秩序)』。内面に生まれる衝突や揺らぎを破壊と再構築のプロセスとして捉え、無秩序の中に一瞬立ち上がる“秩序のかたち”を見出す。ゴールドを基調とした素材やストリートカルチャーの要素を取り入れたアクセサリー作品も展開している。
Instagram: @konjac_chanri

小林葵(現代アート)

旅の記録やインタビュー、工業製品を組み合わせ、映像やインスタレーション作品を制作している。2002年北海道生まれ、現在は金沢美術工芸大学大学院芸術学専攻修士課程に在籍。
作品の中心にあるのは、故郷を離れる移動行為への探求。近年は先祖の出稼ぎ・移住にまつわるリサーチをもとに、各地で出会った人々の言葉や自然素材を用いた映像や立体作品を制作。
様々なメディアを加工・編集し作品にすることで、過去の事実が書き換えられていくプロセスや、その中で新たなイメージが生まれることを表現している。
公式サイト: kobayashiaoi.myportfolio.com
Instagram: @afuhi_58


ようへい(イラストレーター)

クランプダンサーとしてのバックグラウンドを持つイラストレーター。ストリートカルチャーとカートゥーンの要素を軸に、“自分らしさ”を貫いたイラストレーションを展開している。
これまでに「髭達磨」や「部屋探しーず」などのイラストを手がけ、キャラクターの持つ独特の存在感と、日常に潜むストリートの空気感を表現してきた。動きのあるビジュアル表現が特徴。
ストリートとアートの境界を軽やかに越えながら、自分自身のスタイルを探求するその作品は、カルチャーシーンの新たな温度を感じさせる。
Instagram: @y.t.arts


遠藤圓空(書道アート)

神の御告げから筆を握った異色の書道家。活動歴わずか1年半(2025年11月時点)ながら、国内外の舞台で存在感を示してきた。キャリアの出発点は、**「神の啓示」**という体験にある。書道経験も師事も持たず、完全独学で筆文字を探求し、独自の表現を確立。文字に宿る意味を深く読み解き、言葉の持つ神秘性とエネルギーを、型にとらわれない奔放な筆致で描き出す。
活動ハイライトとしては、2024年にニューヨークで2度の展覧会に出展。同年、GINZA SIXの観世能楽堂で書道パフォーマンスを披露し、2024・2025年には和文化イベント「ジャポネスクルー」に2年連続で出演している。異国の地でも注目を集めるその筆文字は、単なる書の枠を超え、“言葉が生きる瞬間”を視覚化するアートへと昇華されている。
「文字に宿る意味を読み解き、言葉の神秘性と奥深さを筆文字で表現する」というテーマのもと、筆を通じて“書く文化”を現代に継承し、見る者に書の楽しさと力を伝える活動を続けている。
Instagram: @enku.u_do01
TikTok: @shodo.de.art
Facebook: 遠藤圓空



Kenichiro Nakamura(Photographer)

東京を拠点に活動するフォトグラファー。2023年にLeica Q2を手に写真表現を始め、街と人との関係をテーマにストリートフォトを追求している。代表的なシリーズ「metrosilence」では、都市の喧騒の中に潜む静けさや内省の瞬間を写し取り、日常の都市風景に潜む美しさと緊張感をあぶり出す。都市生活のリアリティを見つめるそのまなざしは、鑑賞者に都市と自分自身との距離を問いかける。
Instagram: https://www.instagram.com/pics.bones/



110king(現代アート・ストリートアート)

100king(いときん)。上田安子服飾専門学校ファッションデザイン科を卒業後、アパレルメーカーで企画生産を4年間経験。その後、路上表現に魅せられてアーティストへと転身した。突発性拡張型心筋症という難病を発症したことをきっかけに、生命と向き合う「ハート作家」としての活動を開始。現在は能登半島地震を機に“水でハートを描く”活動を行っており、路上や公園に突如現れるハートが小さな幸せを運ぶ「ラブゲリラ」を展開している。水と粘土で描かれるハートは、人生の軌跡や笑顔を形にする行為でもあり、見る人の心に温度を残す。
Instagram: https://www.instagram.com/boosheegarden110/



糖衣華 Toi Hana( エイリアンクリエイター)

特殊メイク学科を卒業し、2019年に「ミスiD2020 佐久間宣行賞」を受賞。2020年には「KAWASAKI HALLOWEEN」でメルハロ賞を獲得するなど早くから注目を集める。以降も渋谷スクランブルスクエア「STA Exhibition」(2023年1月)、泉谷しげるとの二人展「VS」(2023年9月)、ラフォーレ原宿「愛と狂気のマーケット +DA.YO.NE. POPUP」(2024年2月)、西武渋谷「シブヤスタイルvol.18」(2024年12月)などで作品を発表してきた。
活動の核にあるのは“イマジナリーフレンドの具現化”。宇宙人やモンスターの着ぐるみやぬいぐるみを制作し、ユニークで生命感あふれるキャラクターを通じて理想の世界を提示する。オリジナルキャラクターのグッズやキャンバス作品も手がけ、観る者を“異世界の日常”へと誘う。
各種リンク:https://linktr.ee/poifull_co



蒼櫻ねぇ(動物イラスト・絵画)

2022年よりInstagramにて愛犬コーギーを題材とした漫画の投稿を開始し、現在ではフォロワー1万人を超える支持を得ている。2025年からは油絵のようなタッチで描く絵画制作にも取り組み、犬との暮らしから生まれる瞬間的な表情を独自のスタイルで表現。今回の展示では、愛犬をテーマにした作品を中心に、猫や他の動物たちの姿も描き出す。
これまでに個展や合同展に参加し、作品を通して動物と人間の間に生まれる特別な絆を共有してきた。表情豊かな動物たちを描くことで、その存在が持つ温かさを観る人に届ける。
Instagram: https://www.instagram.com/aozakura_nee/


開催概要
- 会期:2025年10月1日(火)〜10月3日(木)
- 会場:SHIBUYA XXI(渋谷駅A3出口から徒歩3分)
- 料金:入場無料
- 出展者:Kenichiro Nakamura、110king、糖衣華、蒼櫻ねぇ
都市、生命、空想、動物──4名それぞれが異なる視点で「存在」を描き出す今回の展示。ジャンルの垣根を超えた表現の交差点として、SHIBUYA XXIはアーティストと来場者の出会いをつなぐ。
キツネツキ / kitsunetsuki.jp(サイバーパンクフォトグラファー)

サイバーパンク的な極彩色で現実世界を拡張するフォトグラファー。現実の都市風景にデジタル的な質感やSF的ビジョンを重ね合わせ、まるでアップデートされた未来都市のような写真を生み出す。Disney、Pixar作品『私ときどきレッサーパンダ』にリファレンス画像を提供したほか、アパレルブランドのグラフィック、冊子の表紙、アーティストの宣材写真など幅広い場面で作品が採用されてきた。
2022年10月には自費出版での写真集制作を目指しクラウドファンディングを実施。650名以上から545万円を集め、写真集『L8r2020+1』を刊行。翌2023年3月には渋谷ヒカリエで写真展を開催し、香港・台湾を皮切りに世界各地での展示を展開するべく活動を拡大している。
「I want to create a world like no one has ever seen」という言葉の通り、既存の現実をサイバーパンク的に再構築し、誰も見たことのない新しい都市の姿を提示し続けている。
公式サイト: kitsunetsuki.jp



