ドバイ発、異能が手を組んだ最新作 ── マリオ・バズーリ& シャーヒン・シャンティアエイ「Heaven」

ドバイのエレクトロニック・ミュージック・シーンを牽引する二人、マリオ・バズーリとシャーヒン・シャンティアエイがタッグを組み、新曲「Heaven」をリリースした。本作は、メイド・バイ・ピートが主宰するレーベルLife In Colourからの第4弾リリースである。

「Heaven」は、現代における“6インチのスクリーン”──すなわちスマートフォンを通じて形作られる思想や信念をテーマにした作品。SNSによって現実が編集され、認識が操作される時代において、「Is it A.I or you?(それはAIか、それともあなたか?)」という歌詞が示すように、私たちはもはや誰と対話しているのかすら分からなくなるという不安を描き出す。さらに「Feels like the Heaven’s owned by the Satan」という一節は、もし“天国”が存在するなら、それはすでに誤った手に握られているのではないかという鋭い視点を提示している。

サウンド面では、砂漠を思わせるメロディックな質感と、シンセとアコースティック楽器の境界を曖昧にするプロダクションが特徴的である。シャーヒンによるオリジナル・ヴォーカルは強烈な印象を残し、成熟したアレンジの中で自在に操られている。さらにリミックスには、レーベル・ヘッドであるメイド・バイ・ピートが参加し、オリジナルの神秘性を保ちながらもピークタイム向けのフロア仕様へと昇華させている。

スペイン出身のDJ/プロデューサー“マリオ・バズーリ”は、ドバイと母国スペインを拠点に長年活動を続け、主要クラブの常連であり、Ibiza Global Radio UAEではレギュラー番組も担当している。民族的な響きとダークでメロディックなシンセを特徴とし、Sony MusicやRedolentをはじめとするレーベルから作品を発表してきた。対するシャーヒン・シャンティアエイは、50作以上のリリースを重ねてきたプロデューサーであり、ドバイ・シーンに欠かせぬ存在である。

時代の不安と魅惑を音に変換した「Heaven」は、ジャンルの枠にとらわれない一曲として、リスナーの記憶に深く刻まれるに違いない。

▶︎ 試聴リンク:SoundCloud

https://www.instagram.com/mariobazouri
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​​​​​​​https://soundcloud.com/mario-bazouri

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