荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』アートプリント、サンフランシスコで世界初公開──11月には京都・東本願寺へ

集英社マンガアートヘリテージは、『ジョジョの奇妙な冒険』の作者・荒木飛呂彦による初のリトグラフおよびレンチキュラー作品を発表する。9月27日から10月25日まで米サンフランシスコのMinnesota Street Projectで展示され、その後11月14日〜16日には京都・東本願寺 白書院へ巡回する。

リトグラフで描かれるスタンド使いたち

2025年6月から制作されたリトグラフ作品は全9点。空条承太郎/スタープラチナ、DIO/ザ・ワールド、東方仗助/クレイジー・ダイヤモンド、ジョルノ・ジョバァーナ/ゴールド・エクスペリエンス、空条徐倫/ストーン・フリーなど、シリーズを代表するキャラクターとスタンドが選ばれた。

リトグラフは、アーティストが版そのものに直接描くことで原画の質感を紙へと転写する伝統技法。荒木がリトグラフ用鉛筆とチョークで描いた線は消すことができず、その緊張感が伸びやかな描線やリズムに結実している。各作品は100部限定で、板津悟(善福寺石版画工房)の手により刷られる。

レンチキュラーで立体化される名場面

もうひとつの目玉は、レンチキュラープリントによる大判作品である。第1部ジョナサンから第9部ジョディオまで、歴代主人公の印象的なシーンを横幅約1メートルのサイズで立体的に表現。両眼の視差を利用した技術により、鑑賞者が歩くことでイメージが揺らぎ、時間が拡張されたような新たな鑑賞体験を得られる。

京都・東本願寺での巡回展

サンフランシスコでの展示終了後、作品群は11月に「ACK 2025」にあわせて京都・東本願寺 白書院に巡回。完全予約制で開催され、チケットは9月9日13時より販売開始される。価格は一般1800円、中高生1200円となっている。

荒木飛呂彦と「美術」としてのジョジョ

荒木飛呂彦は1986年に『ジョジョの奇妙な冒険』を連載開始し、現在は第9部『ザ・ジョジョランズ』を執筆中。累計発行部数は1億2000万部を超え、ルーヴル美術館での展示やGUCCIとのコラボレーション、国立新美術館での個展など、美術の文脈でも高く評価されてきた。

今回のリトグラフとレンチキュラー作品は、マンガ表現と美術的技法が結びつくことで、『ジョジョ』のイメージが新たな地平へと拡張される試みである。

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