田部井美奈「光と図形と、その周辺」展開催 ── グラフィックと光が交差する実験的作品群

公益財団法人DNP文化振興財団は、東京・銀座のギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)にて、アートディレクター/グラフィックデザイナー田部井美奈の個展「光と図形と、その周辺」を2025年9月5日(金)から10月22日(水)まで開催する。

光と偶然性を取り込んだ「タベイミナイズム」

田部井は、広告や書籍、パッケージなど幅広いデザインを手掛けてきた。彼女の作品は、凛とした品格の中に温かみを宿し、華美でなくとも目を惹く存在感を放つ。そうした一貫した美学は「タベイミナイズム」とも呼べる独自の円環を形成している。

本展の中心となるのは、2018年より継続して取り組む実験シリーズ「光と図形」。写真を用い、制御不能な光や影の偶然性を紙面に落とし込むことで、自身の想像を超えたイメージを生み出してきた。その予測不可能な瞬間を作品へ投影する過程が、観る者を強く惹きつける。

展覧会構成とみどころ

展示では、「光と図形」の最新作を空間全体で体感できるインスタレーション形式で紹介するほか、これまで手掛けたブックデザインやパッケージ、ポスターといった代表作も一堂に展示。光とグラフィック、そして身体的な時間感覚が交錯する“タベイミナイズム”の真髄に迫る内容となっている。

また会期に合わせて『ggg Books 141 田部井美奈』(序文:服部一成)が刊行され、これまでの代表的な仕事と実験的な作品を網羅的に振り返ることができる。

田部井美奈プロフィール

埼玉県出身。武蔵野美術大学短期大学部卒業後、服部一成に師事。2014年に独立し、田部井美奈デザインを設立。広告、書籍装丁、展示空間デザインなどを幅広く手掛ける。主な仕事に武蔵野美術大学の広報、NHK大河ドラマ『光る君へ』、マティス展告知物、『結婚の奴/能町みね子』装丁、Mame Kurogouchiや(NO)RAISIN SANDWICHのパッケージデザインなどがある。2019年に東京ADC賞を受賞。AGI会員。

開催概要

  • 展覧会名:「田部井美奈 光と図形と、その周辺」
  • 会期:2025年9月5日(金)~10月22日(水)
  • 会場:ギンザ・グラフィック・ギャラリー(東京都中央区銀座7-7-2 DNP銀座ビル)
  • 開館時間:11:00~19:00
  • 休館日:日曜・祝日
  • 入館料:無料
  • 公式サイトggg公式ページ

オープニングイベントやギャラリートークの詳細は公式サイトにて随時更新される。


銀座の中心で、光と偶然をとらえたグラフィック実験と精緻なデザインワークが交差する本展。田部井美奈の創造の軌跡を一望できる、貴重な機会となるであろう。

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