
VETHELの特集企画「音楽と〇〇」は、音楽と寄り添うさまざまなサブカルチャーとの交わりを探るインタビューシリーズ。〇〇はアートやゲーム、漫画、映画、ガジェット、建築、グルメ、旅行、乗り物、スポーツ、アウトドア……など何でもあり。音楽とその界隈の関係を語っていただきます。今回のゲストは?
麻雀と音楽、一見まったく異なる世界に見えて、実はどちらも“間(ま)”と“リズム”がすべて ── そう語るのは、音楽ユニットSuupeasのメンバーであり、プロ雀士としても活動するひなぷ(武田雛歩)さん。アニメ『咲-Saki-』をきっかけに麻雀の世界へ飛び込み、音楽とともに歩んできた彼女が語る、BGMが打ち筋に与える影響、ジャンルで“役満”を組む妄想、そして深夜にぴったりな1曲とは? 音と牌がシンクロする、静かでアツい「ひなぷ的・麻雀的世界」をじっくりとお届けします。

謎の美少女(サンプラー使い)はるぽんからなる、見た目も性格も、ゆるゆる、ふわふわな2人がボカロPによるボカロックを歌う
「お昼寝系」2人組ガールズ音楽ユニット。お昼寝のような絶対的幸福感をお届けしたい気持ちです。
麻雀はアニメ『咲-Saki-』を観たのがきっかけ
VETHEL ひなぷさんが麻雀にハマったきっかけは?
ひなぷ 小学校6年生のときに、アニメ『咲-Saki-』を観たのがきっかけです。女の子たちが麻雀部でトーナメントを戦う話なんですが、「麻雀を打つ女子って、めちゃくちゃカッコいい!」と思って。そこから一気にハマりました。
VETHEL 一般的に麻雀って、煙モクモク、徹夜、オジサン……みたいなイメージがありますが、そこから入ったわけではないんですね。
ひなぷ 全然ないです(笑)。むしろプリキュア的な感覚で、「かっこいい!」って気持ちが先でした。
VETHEL 最初は誰かに習ったんですか?
ひなぷ いえ、独学です。ネットで調べて、天鳳とかMJとかの麻雀アプリから始めました。学生時代は家族麻雀もたくさんやってました。
VETHEL ご家族も麻雀を?
ひなぷ はい、家には雀卓もあります!
VETHEL すごいですね。ということは、もう10年以上打ってるんですね?
ひなぷ そうですね。プロを目指し始めたのは5年ほど前ですが、それまではずっと趣味として家族で楽しんでました。
麻雀を打つときは心を静かに保てる曲が合う
VETHEL 音楽との出会いは?
ひなぷ 音楽もアニメが入り口でした。小学生のころから深夜アニメを観て、その主題歌にハマって。あとはボカロもドンピシャ世代なので、すごく聴いてました。
VETHEL 麻雀と音楽、何かつながりを感じることはありますか?
ひなぷ 最初は「関係ないかな」と思ってたんですが、実際に麻雀を打つときにBGMとして音楽があると、気持ちが整ってすごくいいかなと思いました。
VETHEL どんな曲を流しますか?
ひなぷ 落ち着く系の曲が多いですね。麻雀ってメンタルが大事だと思うので、クラシックやジブリのような、心を静かに保てる曲が合うなと思っています。
VETHEL 音楽が変わると、打ち筋も変わると思いますか?
ひなぷ 変わると思います! 激しい曲を聴いてると、強気に攻めたくなるし。音楽で気持ちが上がると、自然と攻撃的になる気がします。
VETHEL ひなぷさんの麻雀スタイルは?
ひなぷ メリハリ型です。見切るところはスパッと降りて、行くときは徹底的に攻める。最近はそのバランスを意識してます。
VETHEL 普段は音楽を流しながら打つんですか?
ひなぷ いえ、基本的には無音ですね。公式戦とかだと喋るのも禁止なので、完全に孤独な戦いです。

リーチ中は燃える曲がいい
VETHEL 泣きたいとき、リーチ中、あがった瞬間 ── それぞれに流したい曲はありますか?
ひなぷ 泣きたいときは、軽やかで風のような曲ですね。ジブリ系とか。リーチ中は燃える曲がいいです。例えばLiSAの「紅蓮華」とか、水樹奈々さんの「ETERNAL BLAZE」とか。あがった瞬間は、ヒゲダン(Official髭男dism)さんの曲がエンドロールみたいに流れると気持ちいいなと思います。
VETHEL 麻雀のリズムや間合いって、音楽に似ていると思いませんか?
ひなぷ すごく似てると思います。一人ひとり違うリズムで打っていて、それがぶつかり合ったり、逆に調和したり。音楽のセッションみたいな感覚ですね。
VETHEL 逆に、合わない人も?
ひなぷ いますね(笑)。特に勝ち気でテンポが速い人が苦手で、自分のリズムが乱されそうになるとメンタル持っていかれます。
VETHEL もし麻雀に“BPM”があるとしたら、どのくらいだと思いますか?
ひなぷ バラードくらいの遅さじゃないかなと思います。80〜85BPMくらい。ゆっくりと考えて静かに打つのが基本なので。
音楽ジャンルで“役満”を作るとしたら「クラシック × ロック」
VETHEL 「一番あがれそうなアーティスト」と「一番ラスりそうなアーティスト」は?
ひなぷ 一番あがれそうなのは優里さん。強いイメージで、メンタルも強そう。逆に一番ラスりそうなのは手嶌葵さん。優しすぎて勝負事に向いてなさそうなイメージです。
VETHEL 音楽ジャンルで“役満”を作るとしたら、どんな組み合わせになりますか?
ひなぷ うーん、華やかで繊細、強くて美しい……そんなイメージで、「クラシック × ロック」とか。派手さと美しさの共存って感じがします。
VETHEL 深夜の麻雀にぴったりな1曲はありますか?
ひなぷ 眠くなっちゃうので、テンション上がる系ですね。緑黄色社会さんの「Mela!」とか、Suupeasの「ヘッチャカ」とか、自分たちの曲も結構張り付き系なので(笑)。
VETHEL 徹夜麻雀もするんですか?
ひなぷ 呼ばれたら全然行きます! 自分から誘うことは少ないですけど、声をかけられたらすぐ4人集まります。
VETHEL 「この曲を聴いたらもう麻雀できない!」っていうくらい、感情を持っていかれる曲は?
ひなぷ EGOISTさんの曲です。歌声も歌詞も美しすぎて、聴くとしんみりしちゃって麻雀どころじゃなくなります。
VETHEL 最後に……音楽と麻雀、どちらかをやめなきゃいけないとしたら?
ひなぷ うわ〜、悩む……けど、麻雀かな。やっぱり音楽はずっと心の中にあったものなので。
VETHEL ありがとうございました!
ひなぷ ありがとうございました!
Suupeas定期ライブ「SING寝具SING~秋のうたた寝〜」

日時:9月23日(火・祝) OPEN 12:30/START 13:00
会場:月見ル君想フ

Interview & Text : VETHEL
Photo : 夢見るサトシ