『攻殻機動隊』が展覧会として現実に拡張される──シリーズ史上初の大規模横断展『攻殻機動隊展 Ghost and the Shell』が開幕

1989年に士郎正宗が世に放った原作コミックから始まり、押井守による1995年の劇場版アニメ『GHOST IN THE SHELL』、そして数々のTVシリーズ、スピンオフ、実写化と拡張し続けてきた『攻殻機動隊』。その30年以上に及ぶ進化と系譜を一挙に横断する、史上初の展覧会『攻殻機動隊展 Ghost and the Shell』が、2026年1月30日〜4月5日の会期で虎ノ門ヒルズ「TOKYO NODE」にて開催される。

舞台は、都心の情報発信拠点「TOKYO NODE」内にあるギャラリーA/B/C(ステーションタワー45F)。会場では、Production I.GやサイエンスSARUの協力を得て、アニメ全シリーズを網羅。600点以上の原画、設定資料、絵コンテなど未公開アーカイブも多数公開される。

展示は、ただの回顧展では終わらない。インタラクティブなインスタレーション、監督陣のインタビュー映像、「GHOST」と「SHELL」の本質に迫る思考体験型の“DIGる(ディグル)展示”など、観るだけでなく、考え、感じる構成が軸になっている。展示を通じて「人間とは何か?」という問いが、AIやブレインマシンインターフェイス(BMI)といった現代テクノロジーの観点から再構築される。

さらに、シリーズに影響を受けた現代アーティストとの共創展示も展開。コンテンツの横断性に留まらず、思想や表現までも横断する構造となっている。展覧会限定のグッズやオリジナルショップの展開もあり、コンテンツの“消費”すらも含めて一つの体験とされている。

そして特筆すべきは、新作TVアニメーション『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』の関連展示も予定されている点。アニメーション制作はサイエンスSARU、監督は『ダンダダン』副監督などを務めたモコちゃんが初監督として参加。シリーズ構成・脚本にはSF作家の円城塔、キャラデザ・総作画監督は半田修平。公開は2026年予定で、シリーズの“次なる身体”を提示する。

展示概要

  • タイトル:攻殻機動隊展 Ghost and the Shell
  • 会期:2026年1月30日(金)~ 4月5日(日)
  • 会場:TOKYO NODE GALLERY A/B/C(東京都港区虎ノ門2-6-2 虎ノ門ヒルズ ステーションタワー45F)
  • チケット:2025年秋頃発売予定
  • 主催:攻殻機動隊展 Ghost and the Shell 製作委員会
    (講談社、森ビル、KDDI、Production I.G、パルコ)
  • 公式サイト:https://www.tokyonode.jp/sp/exhibition-ghostintheshell/
  • 公式SNS:

展示の見どころ

  • 全シリーズ横断アーカイブ:未公開資料を含む600点以上の原画・資料を公開
  • 没入型インスタレーション:「攻殻」世界観に身体ごとアクセスする体験型展示
  • 「人間とは何か?」という問いへの再接続:AI/BMI技術から考える攻殻の本質
  • 現代アーティストとの共創:グローバルな影響力を体感できる展示構成
  • 展示限定オリジナルグッズ/ショップも展開

押井守 コメント

ゴーストとシェル。その関係はゴーストの中にシェルがある、それが「Ghost in the Shell」だと思う。ゴーストは人に限らず、人形にも植物にも宿る。何か調和のとれた、穏やかなもの。囁いてくるもの、風のように。
この系列作品の共通点は、未来的なビジョンである。原作漫画の世界観に基づき、各々の監督が作品を描いてきたが、どれも士郎正宗のポリシーを一歩も離れていない。離れられないのだ。だからこそ全てスピンオフとも言え、それがこの作品の良さでもある。
その展覧会が横断的というからには、サブカルとして順不同な入口があるべきだと思う。アニメはもちろん、原作漫画も実写も含めて視野に入れてほしい。それでこそ初めて横断的展覧会になる、と私は思う。

「攻殻機動隊」新章、2026年放送へ

TVアニメーション最新作『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』始動

士郎正宗が1989年に発表した原作コミック『攻殻機動隊』から始まり、押井守監督による劇場版『GHOST IN THE SHELL/攻殻機動隊』(1995年)や、『S.A.C』シリーズ、『ARISE』、Netflix配信作品『SAC_2045』、そしてハリウッド実写版と、世界を揺さぶり続けてきたこのサイバーパンク・フランチャイズが、再び動き出す。

最新作『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』は、2026年にテレビ放送を予定。アニメーション制作を手がけるのは、映画『犬王』でゴールデングローブ賞アニメ映画賞にノミネートされ、映画『きみの色』では上海国際映画祭 金爵賞アニメーション最優秀作品賞を受賞した実績をもつサイエンスSARU。国内外のアニメシーンで存在感を放つ気鋭スタジオが、電脳空間と義体をめぐる情報の海を再構築する。

監督はTVアニメ『ダンダダン』で副監督を務めたモコちゃん。これが初の監督作品となるが、すでにSARU作品群の中で頭角を現していたクリエイターだ。シリーズ構成・脚本は『Self-Reference ENGINE』などの著作で知られ、SF思考に精通した作家・円城塔。アニメ『ゴジラ S.P<シンギュラポイント>』の構成・脚本でもその構築力を見せつけている。

キャラクターデザインと総作画監督には、Netflixアニメ『スコット・ピルグリム テイクス・オフ』やTVアニメ『スプリガン』のデザインワークを担当した半田修平が参加。シリーズの持つ硬質な世界観と身体性を、新たなビジュアルで描き出す。

『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』が描くのは、”ゴースト(魂)”と”シェル(器)”の関係性を、テクノロジーと人間性の交差点から再び問う物語。今回の展開では、現実社会におけるAI、BMI(ブレイン・マシン・インターフェース)、ポストヒューマン的な概念を内包した、より「今」と地続きのSF的ビジョンが期待される。

新情報は『攻殻機動隊』公式グローバルサイトや公式SNSで順次公開予定。30年以上にわたり多様な表現で「人間とは何か?」を問い続けてきたシリーズが、次に向かう未来を見逃すわけにはいかない。

『攻殻機動隊』というIPは、作品単体ではなく、時代と技術のシンクロ装置として機能してきた。展示はその“実体化”にほかならない。過去作の追体験でも、資料のアーカイブでもなく、これは“自分にとっての攻殻”を問い直す装置として機能するだろう。

2026年、その問いと向き合う3ヶ月が、虎ノ門で始まる。

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