音楽家・高田漣、記憶と時空を旅する初小説『街の彼方の空遠く』──6月27日発売

吉祥寺を舞台にした壮大な“サウンド・ノベル”が誕生する。

音楽家・高田漣(たかだ・れん)による初の小説『街の彼方の空遠く』が、2025年6月27日に河出書房新社から刊行される。高田はこれまで、細野晴臣、高橋幸宏、坂本龍一らと共演し、音楽家・マルチ弦楽器奏者として活躍してきた。YMOトリビュート公演への出演や、CM・番組の音楽提供など、多方面で注目を集める存在だ。

そんな高田が手がけたこの作品は、自身の故郷である吉祥寺を起点に、過去・現在・未来・平行世界を描いた長編。文芸誌「ケヤキブンガク」(水曜社)に連載された3作に加え、「幕前」「幕間Ⅰ」「幕間Ⅱ」を新たに書き下ろし、小説家としての第一歩を踏み出すにふさわしい構成となっている。

物語は1994年7月、AKAI MPC60の読み込みエラーから始まる。以降、ジャズ、フォーク、ヒップホップなどの音楽的モチーフとともに、複数の時代と人物、記憶の断片が交錯しながら進行していく。象徴的なアイテムやセリフが物語の中でリフレインされる構造は、まさに“音楽家による小説”の証明だ。

本作は単なるフィクションではない。実在する吉祥寺の店舗や、父・高田渡の面影を感じさせる描写、アーティストたちの楽曲引用など、現実と虚構の境界があいまいなまま展開される。サンプリング、オマージュ、引用の手法が散りばめられ、ジャンル横断的な“ポップ・ホリック文学”として成立しているのが特徴だ。

推薦コメントには、作家・いとうせいこうや中島京子が名を連ね、ジャンルを超えた評価が集まっている。

いとうせいこう推薦コメント

イカした音楽と引用の嵐を伴って、
過去のJR中央線からあらゆる別世界へ。
これこそ異種のコトバが飛来しまくる
POP文学のふるさとだ。

中島京子推薦コメント

吉祥寺の愉快な面々と時空を駆けめぐる漣さん。
1994年の大学生、戦前のバンドマン、ヘンテコな未来人、一頭の蛾も道連れ。
詩(ことば)と音楽の奔流に圧倒されつつ、
なんとなく人恋しくなる傑作小説。

本の構成は以下の通り:

  • 幕前 夢の船乗り
  • 第一幕 フォーク・ソング または44/45
  • 幕間Ⅰ ニャーの気象学
  • 第二幕 ネイチャー・ボーイ または考察三一
  • 幕間Ⅱ 「ふん」の体系
  • 第三幕 恋は桃色〜16 coaches long〜

書籍の詳細は以下の通り:

  • 書名:街の彼方の空遠く
  • 著者:高田漣
  • 発売日:2025年6月27日(金)
  • 定価:2,607円(税込)
  • 判型:46判・並製・304ページ
  • ISBN:978-4-309-03971-8
  • 出版社:河出書房新社
  • 装幀:大島依提亜
  • 装画:マッチロ

URL:https://www.kawade.co.jp/np/isbn/9784309039718/

高田漣(たかだ・れん)

1973年生まれ。フォークシンガー・高田渡の長男。音楽家、プロデューサー、作曲家、編曲家、執筆家としての顔を持つ。ギターをはじめ、ペダル・スティール、ウクレレ、バンジョー、マンドリンも操るマルチ弦楽器奏者。2002年にソロ・デビューし、多数のオリジナル・アルバムをリリース。2017年の『ナイトライダーズ・ブルース』で第59回日本レコード大賞優秀アルバム賞受賞。楽曲アレンジ及びプロデュース、映画、ドラマ、舞台、CM音楽も多数手がける。

吉祥寺という場所、音楽という記憶、父との時間、そして愛。
それらを再構築した“レクイエムのような物語”が、ページの向こうから響いてくる。
音楽ファン、文学ファンのみならず、90年代を知るすべての読者にとって、深く刺さる一冊になるだろう。

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