初音ミク、『千本桜』でボーカロイド文化の象徴に──国際音楽賞「MUSIC AWARDS JAPAN」第1回授賞式レポート

2025年5月22日(木)、ロームシアター京都にて「MUSIC AWARDS JAPAN 2025(以下、MAJ)」の第1回授賞式が開催された。主催は一般社団法人カルチャーアンドエンタテインメント産業振興会。5,000人を超える音楽関係者の投票によって選出された各賞の受賞作品が発表され、会場では多数のアーティストによるライブパフォーマンスが披露された。

このたびMAJでは、ボーカロイド音楽を対象とした新部門「最優秀ボーカロイドカルチャー楽曲賞」が創設され、その初代受賞作品として『千本桜』(黒うさP feat. 初音ミク)が選出された。授賞式には、バーチャルシンガー・初音ミクが映像で登場。オープニングショーにて、YMOの名曲『RYDEEN』をベースにしたスペシャルパフォーマンスが披露され、日本の音楽カルチャーを象徴する存在としてその存在感を見せつけた。

今回の映像演出では、アーティストr-906が制作した楽曲が使用され、本人もパフォーマンスに参加。初音ミクの3DCGモデルは、YMOのアルバムジャケットをオマージュした特別仕様となり、ディテールにまでリスペクトが込められていた。

【r-906さんのコメント】

「MUSIC AWARDS JAPAN 2025」のオープニングで大好きな初音ミクが歌っている姿が見られるというだけで嬉しいのに、そこに私の音源と、まさか私自身をも起用していただけるとは夢にも思いませんでした。YMO『RYDEEN』も大好きな曲なので、大好きなものどうしがかけ合わさった制作は、何物にも代え難い貴重な経験となりました。r-906の音楽が、初音ミクの歩む道を少しでも彩れていたのなら、これ以上嬉しいことはありません。

最優秀ボーカロイドカルチャー楽曲賞ノミネート作品

  • 『イガク』(原口沙輔 feat. 重音テト)
  • 『オーバーライド』(吉田夜世 feat. 重音テト)
  • 『千本桜』(黒うさP feat. 初音ミク)
  • 『テトリス』(柊マグネタイト feat. 重音テト)
  • 『メズマライザー』(サツキ feat. 初音ミク & 重音テト)

エントリーは、「ニコニコVOCALOID SONGS」(Billboard JAPAN)および「The VOCALOID Collection」(株式会社ドワンゴ)から構成されたMAJ独自チャートの上位100曲から選出され、200名以上のボーカロイド文化に関わる関係者による投票により受賞作品が決定された。

受賞者:黒うさP氏のコメント

「千本桜」は、震災後に少しでも元気を届けたいという想いから生まれた曲。このような賞をいただけたのは、作品をさまざまな形で愛してくれたすべての方のおかげ。ボーカロイド文化、そして日本の音楽の魅力を世界に伝える一助となれば嬉しい。

ボーカロイド楽曲が国際的な音楽賞にて正式にカテゴリー化されたことは、同ジャンルが「一過性のブーム」を超え、音楽文化の一つとして確かな存在感を示している証だろう。

初音ミクを展開するクリプトン・フューチャー・メディアは、今後も初音ミクをはじめとする「ピアプロキャラクターズ」を通じて創作文化の支援を継続すると発表している。

ボーカロイドの世界が築き上げてきた創造力と表現の自由。それらが、国際音楽賞の舞台においても称えられた今回の出来事は、次世代のクリエイターたちにとって大きな励みとなるはずだ。

<会社概要>

会社名:クリプトン・フューチャー・メディア株式会社
代表者:代表取締役 伊藤博之
所在地:〒060-0003 北海道札幌市中央区北3条西4丁目1-1 日本生命札幌ビル11F
設 立:1995年7月

サウンド素材を輸入販売する「音の商社」として創業。得意分野の「音」を探究しながらデジタルコンテンツに関わる事業を展開する中、2007年に歌声合成ソフトウェア『初音ミク』を企画開発した。掲げるミッションは、クリエイターが物事を「ツクル」ための技術やサービス、つくった物事を発表する場を「創る」こと。北海道札幌市から国内外に向けて、3,000万件以上のサウンドコンテンツのライセンス販売をはじめ、音声技術開発、音楽配信プラットフォームの開発・運営、キャラクターライセンス事業、ライブ・イベント制作事業、地域を応援するローカルプロジェクトの企画・運営など、多岐にわたるサービス構築・技術開発に取り組んでいる。

コーポレートサイト:https://www.crypton.co.jp/

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