
2025年3月6日(木)、東京・Zepp DiverCityにて、ソニー・ミュージックレーベルズが主催する新人アーティストのショーケースイベント〈Sony Music Labels 2025〉が開催された。本イベントは2015年に始まり、今回で節目となる10回目を迎えた。コロナ禍を経てオンライン開催も経験し、本年は会場とStagecrowdでのオンライン生中継を併用するハイブリッド形式での実施となった。
ロックバンド、ポップデュオ、ダンス&ヴォーカルグループ、シンガーソングライターなど、ジャンルもスタイルも異なる7組のアーティストが出演。それぞれが独自の音楽性とパフォーマンスを披露し、今後の音楽シーンを牽引する可能性を存分に示した。本稿では、特に印象的なステージを見せた3組をピックアップし、そのライブの模様をレポートする。

yutori
『Sony Music Labels 2025』の幕開けを飾ったのは、女性ヴォーカルの佐藤古都子を擁する4人組バンド、yutori(ゆとり)。平均年齢21歳の彼らは、独自の世界観を音楽に昇華させる新世代のバンドとして注目されている。
ステージにメンバーが位置につくと、佐藤が白いエレキギターを抱え、一人で「午前零時」を歌い始めた。“声にならない言葉を歌う”というキャッチコピーそのままに、切実な歌声が静寂を切り裂き、会場を包み込む。その後、「君と癖」ではラウドなギターが炸裂し、一気に熱気が高まる。続く「煙より」では、“大人になっても変わらないでいたい”という歌詞とともに、スクリーンに彼らが出演したフェスや即完となったSpotify O-EAST公演の映像が流れ、ライブシーンでの躍進ぶりを印象づけた。
ラストでは、佐藤が「またどこかでお会いしましょう」と静かに語りかけ、4人がドラムに向かって音を合わせて演奏を締めくくった。圧倒的な熱量と繊細な表現が共存するステージで、バンドのポテンシャルを存分に示した。

BILLY BOO
ヒップホップやR&B、J-POP、ロックを独自にブレンドしたサウンドで注目を集める4人組バンド、BILLY BOO。ABEMAの恋愛リアリティ番組「キミとオオカミくんには騙されない」のBGMとして話題を呼び、バイラルヒットしたバラード「レンズ」でライブがスタートした。
エレキギターのシンプルな伴奏のもと、KAZUKI UJIIEの“一度聴いたら忘れられない天性の歌声”が際立つ。続くMCでは「何をやってもビリで、うまくいかなかった僕たちが、音楽で大きなステージに立ちたい」と熱い決意を語った。
今年4月から放送開始となるアニメ「謎解きはディナーのあとで」のエンディングテーマ「ラブソディ」や、「サイレン」では一転、KAZUKI UJIIEがステージ上を軽やかに駆け回り、観客を引き込む。タイトでメロウなグルーヴが心地よく、バンドとしての実力の高さを証明した。

Yobahi
“眠れない夜、あなたの心を奪う”をコンセプトに掲げる岐阜県出身のスリーピースバンド、Yobahi(ヨバヒ)。ボーカルNakatsuの切なく透明感溢れるファルセットが響き渡る「サクラトリップ」からライブをスタートさせた。
続く「ツララ」は、テレビアニメ「青の祓魔師 雪ノ果編」のエンディングテーマとして起用された楽曲。さらに、アニメーター10十10(てんとてん)によるフルアニメーションMVで話題を集めた「走馬灯」へと続き、Yobahiの持つ独自の世界観を存分に披露した。
ステージ上のスクリーンには、楽曲ごとに異なる“君”と“僕”の物語が映し出され、観客を物語へと没入させる演出が施された。素顔や年齢を公表せず活動する彼らは、バックライトに照らされたシルエットのみを見せることで、楽曲の物語性をより際立たせる。観客は彼らの音楽に没頭し、自然と自身の人生と重ね合わせるような体験を得ていた。

音楽とサステナビリティの融合
Zepp DiverCityのロビーにはフラワーアレンジメントが設置されていたが、これはソニーミュージックグループが取り組む「Rebloom Flower Project」の一環である。本プロジェクトは、ライブに贈られた祝い花を回収・再利用する取り組みであり、今回のイベントでもその花々が装飾として活用された。音楽を彩る特別な瞬間を大切にしながら、持続可能な未来への貢献を目指すソニー・ミュージックレーベルズの姿勢が感じられた。
PHOTO BY Ryohei Nakayama
セットリスト
yutori
- 午前零時
- 君と癖
- 煙より
BILLY BOO
- レンズ
- ラプソディ
- サイレン
Yobahi
- サクラトリップ
- ツララ
- 走馬灯