Teen Daze、80年代ポップと現代電子音楽を融合した新章 ── 「Fashionably late / In the moment」

2025年5月8日

カナダ・ブリティッシュコロンビア州出身のプロデューサー、Jamison Isaakによるエレクトロニック・ドリームポップ・プロジェクト、Teen Dazeが、新たな2曲入りシングル『Fashionably late / In the moment』をリリースした。前作『Moving forward / Tokyo』からわずか数ヶ月、新作はさらに深化したサウンドとコンセプトを提示している。

Teen Dazeはこれまでも、チルウェイヴやアンビエント、エレクトロニカといったジャンルを縦横に横断してきたが、本作では特に80年代ポップ、ヴェイパーウェイヴ、マイクロハウスへのオマージュが色濃く反映されている。煌めくシンセとエフェクトを施されたヴォーカル、メランコリックでありながら心地よいコード進行 ── そのすべてが、彼の確立されたスタイルに新たな命を吹き込んでいる。

現実と対峙するダンス・トラック「Fashionably late」

A面の「Fashionably late」は、壊れかけた関係性をテーマに据えた一曲である。軽やかなドラムと印象的なコードに彩られた本作は、一聴すると浮遊感のあるポップソングのようだが、風変わりなサウンド・エフェクトの奥には現実との切実な接続がある。困難な時代を生きるリスナーに、「踊ることで前に進むことができるのか？」と問いかけるような一曲である。

「今、この瞬間」を掴み取るB面「In the moment」

一方、B面の「In the moment」は、サンプルの断片、うねるベース、硬質なドラムが印象的なトラックであり、「あの瞬間に起こっていた現実」という引用から幕を開ける。変化を受け入れ、今を生きることの尊さをテーマに、Teen Dazeの内省的な視点が音として昇華されている。新しい時代の幕開けを感じさせるような、端正でありながら実験的な一曲に仕上がっている。

Jamison Isaakは、長年にわたり独学でソフトウェアやレコーディング技術を習得しながら、個人の感性とグローバルな音楽観を往復し続けてきた。そのキャリアの延長線上にある今作は、まさに彼の“進化”を証明するものに他ならない。