エド・シーラン、新作『PLAY』を発表 ── 喜び、記憶、そして旅の記録としてのポップアルバム

世界累計セールス1億5,000万枚、グラミー賞4度受賞という輝かしいキャリアを持つエド・シーランが、最新アルバム『PLAY』のリリースを発表した。発売日は2025年9月12日を予定しており、それに先駆けて先行シングル「Old Phone」が本日5月2日より配信開始された。

数学記号をタイトルに冠したアルバムシリーズ『+』『×』『÷』『=』『-』を経て、キャリアの一区切りを迎えたシーラン。本作『PLAY』では、まるで再び“遊ぶ”ように、音楽への愛情を原点から見つめ直している。本人いわく「暗かった時期を抜けた直後」に制作を開始したこのアルバムは、彼が世界中のツアー先で触れた文化、音楽、そして人々との出会いを糧に、新たなフェーズへと進んだことを物語る。

注目すべきは、本作が“国境を越えた音楽言語”を探求したアルバムである点だ。インドやペルシャの音楽文化に触れたことで、彼のルーツであるアイルランドのフォークと東洋音楽との共鳴を見出したという。旋律、音階、リズムに共通点を見出し、それらを有機的に融合させた本作は、シーランにしか描けない音楽の地図を提示している。

一方で、彼の代名詞ともいえるアコースティックなバラードやフォークソングも健在であり、新しさと親しみやすさのバランスが絶妙に取られている。まさに、ポップというジャンルの柔軟さと強度を体現した作品である。

先行シングル「Old Phone」は、過去と向き合うノスタルジックな一曲だ。使われなくなった古い携帯電話の電源を再び入れたことで、消えかけていた記憶 ── 失われた友情、口論の記録、家族との温かなメッセージ ── が次々に蘇る。アコースティックなメロディに乗せて紡がれる感情は、初期のエド・シーランを彷彿とさせつつ、時間とともに変容するアイデンティティの物語を静かに語っている。

制作の最終段階はインド・ゴアで行われたとのことで、アルバム全体に異国の風と旅の手触りが吹き込まれている。エド自身は「年を重ねるほど、“楽しむこと”の大切さを実感している」と語り、プロモーション活動も“遊び心”を軸に行うと宣言している。

“PLAY”──それは、単なる「再生」ではなく、「演奏」でもあり、「遊び」でもある。この言葉に込められた多層的な意味が、アルバムの全体像を象徴している。2025年のポップミュージックにおいて、きっとこのアルバムがひとつの座標軸となるだろう。

【リリース情報】

■シングル情報
エド・シーラン「Old Phone」
2025年5月2日 配信リリース
視聴リンクはこちら

■アルバム情報
エド・シーラン『PLAY』
2025年9月12日 発売予定
予約リンクはこちら


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