
VETHELの音声連動コンテンツ「Something Essential for Your Life」。第一回のテーマは「もしあなたの人生が映画だとしたら、サウンドトラックに絶対必要な曲は?」。それぞれの瞬間で監督(ゲストご自身)はどんな曲をかけ、どんなドラマチックなストーリーにし、一本の映画になるのか……そんな架空のサウンドトラックをじっくりと考えてきていただきました。本日のゲストは8月に渋谷クワトロでのワンマンを控える、シンガーソングライターのナガトモユリさんです。

VETHEL 本日のゲストはシンガーソングライターのナガトモユリさんです。
ナガトモユリ シンガーソングライターのナガトモユリです。宮崎出身で上京して東京都内中心に活動しています。
VETHEL それでは早速行きましょう。ご自分の人生が映画だとしたら、まず自分が生まれたときのシーンはどんな曲を流しますか?
ナガトモユリ パフィさんの「アジアの純真」。イントロから宇宙っぽさも感じるし、何か未知のものが来るぞ来るぞって感じで(笑)。ギターがダーダーダーダンってあるじゃないですか? あそこで足ついた、なんか来たみたいな感じがして。あれをオープニングに流すと、ちょっとワクワクした面白い人間が想像できるなと思って。そうなりたい(笑)。
VETHEL あのギターのところで生まれる感じ?
ナガトモユリ あそこで自我が芽生える感じですね。
VETHEL そして実際に初めて自分から耳にした曲は何でしょう?
ナガトモユリ これを考えてたときに、人からの影響ってやっぱり大きいんだと思ったんです。お父さん、お母さんが聴いていた音楽、友達から教えてもらった音楽、テレビから流れてきた音楽……そういうのが音楽を知るすべてだったんです。で、私、小学生のときにダンスを習ってたんですよ。そのダンススクールでブリトニー・スピアーズやヒラリー・ダフ、そういう曲を使ってレッスンしてたんですよね。そのときに初めて、音楽界には外国の方もいるんだみたいな衝撃を受けて。サブスクはまだなかったので、CDレンタルショップに行って、そのCDを探して洋楽コーナーに行ったら、アブリル・ラヴィーンが(ジャケで)いたんですよ! ブリトニー・スピアーズ、アブリル・ラヴィーン、ヒラリー・ダフって並んでるコーナーがあってグッと来たのがアブリルで。これは一体誰だ?ってなって、お気に入りになった曲が「コンプリケイテッド」。あのダークな感じ、マイナーな感じが好きだったので、うわ! やばいと思って。そこからの「スケーター・ボーイ」。やばい、かっこいい!と。ってことで自分から耳にした曲はアブリル・ラヴィーンだと思います。
VETHEL ちなみにお父さん、お母さんはどういう音楽を聴いてたんですか?
ナガトモユリ お父さんは日本のフォークソングですね。おうちにギターがあって。お母さんはそのときの平成のJポップみたいな、Every Little Thing、GLAY、L’Arc~en~Cielとかがカセットにごちゃ混ぜで入ってて。お父さんは渋め、お母さんはJポップよりのちょっとミーハーみたいな感じ。浜崎あゆみさんとかもめちゃくちゃ聴いてました。
VETHEL そこで浜崎あゆみさんになりたい!とか思わなかった?
ナガトモユリ なかったですね。それで言うと私がハマったのはBOAさん。歌って踊りたかったんです。ダンススクールで初めてBOAさんの音楽を聴いて、めっちゃかっこいい!と。
VETHEL 次は小学校、中学校、高校を表すテーマソングは?
ナガトモユリ これは悩んだんですけどBUMP OF CHICKEN「ギルド」。BUMP OF CHICKEN自体にハマったのは中学校の後半から高校生のころ。私は学生時代は結構悶々としていて、人生というものは……みたいなことを考えてたんですよ(笑)。特に小学校の入学式で、体育館にみんなで座って校長先生の話を聞いてたときに、「うわ~ここで6年間過ごすんだ……」って絶望したんです(笑)。それが結構ショックで、「私、今絶望してんじゃん……」「絶望したまま6年間過ごすんだ……どうしよう」って。すごくひんやりした体育館の床で……。
VETHEL 小一の入学式でしょう(笑)?
ナガトモユリ 全然楽しくなかったんです。
VETHEL これからバラ色の6年!なんじゃないですか?
ナガトモユリ 全然絶望。訳分からん人たちがいっぱいいると思って、「この人たち、なんでこんなに楽しそうなんだろう?」って思ってた。幼稚園は違う町の幼稚園に行ってたんですね。だから友達がいなかったせいもあるかもしれないですけど、すげーやばいとこ来ちゃったみたいな。
VETHEL 小一の入学式で絶望する人、初めて会いましたよ(笑)。
ナガトモユリ 小一の入学式は私の中でも印象強すぎます。「ギルド」はそのズーッと悶々としてた私の気持ちを、「人間という仕事を与えられて、どれくらいだ。相応しいだけの給料、貰った気は少しもしない」って言ってて、これを言ってくれる大人がいるんだと思って、ちょっと希望が持ってたのと、私は大人にすごいなりたかったんで、この小さな世界から早く抜け出したいって思ってたから。
VETHEL 小一は十分小さいですから大丈夫です(笑)。
ナガトモユリ そうなんですよ。広かったはずなのに、あのころにしては。でもそれがテーマソングだったかもしれない。

VETHEL 次はこれまでやってしまった最大の失敗をしたときの曲は何を?
ナガトモユリ これは奥田民生さんの「さすらい」です。最大の失敗をしたら、もう何もかも一回やめた!ってなると思うんだけども、ちっちゃい失敗だったらちょっと悩む。あ、これじゃなかった!結果、失敗したみたいなので、ちょっとくよくよすると思うんですけど、もう最大の失敗をしちゃったら、おしまい!どっか行こう!ってなる(笑)。
VETHEL ちなみにこれまでの最大の失敗はなんなんですか?
ナガトモユリ これ、あるんですけど、言ってみてもいいですか? ピーってなりますけど(笑)。⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ です。私的にあれが一番の失敗だし、後悔。大人になればなるほど、やってしまったな~と思う。⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ ⚫️ 。これは取り返しのつかないことをしてしまったと思いました。
VETHEL 以上の話は載せられませんので、ぜひナガトモユリのライブのMCでご確認ください(笑)。逆にこれまでやり遂げた最大の成功をしたときはどんな曲をかけたいですか?
ナガトモユリ the pillowsさんの「Funny Bunny」がいいなと思いました。最大の成功や喜びって、私の中ではきっと音楽が関係しているんじゃないかなって思うんです。私、この曲にすごく救われていて、何度も何度も君の夢が叶うのはって、サビの爽快感と疾走感と、なんか思わず大丈夫だよって、絶対的にいつ聞いても、大丈夫だよって背中を押してくれる感じがしてて、これを流して成功をかみしめたら、きっとあのすごい素敵な時間というか、グッとくるだろうなあって思います。
VETHEL そして今すぐ聴きたい曲は?
ナガトモユリ PUNPEEさんの「タイムマシーンにのって」。意外ですよね(笑)? 今まで出た曲は、私の真ん中にあると思っている、バンドとか王道のJポップでした。でも最近サブスクリプションが普及して、いろいろな音楽を無差別に聴くようになってきたんです。で、PUNPEEさんってラップっぽいけれど、ちょっとJポップ感 ── あの日曜の昼間な感じがすごく好きで、朗らかなんだけど核心をついたというか、人間くさいことがあのトラックに乗ってたり、他の曲で、フィーチャリングでお父さんが入っていて家族を巻き込んだり、ライブ映像を観ても自然体の感じがすごく好きで、私が今欲している要素が詰まってますね。
VETHEL サブスクでいろんな音楽を聴くことになって、意外に好きだった曲はありますか? 普段は決して自分からは手を出さないけど、あっこれいいかもみたいな。
ナガトモユリ ラッパー業界はあまり聴いてなかったです。シンガーソングライターの前にバンドをやってたこともあって、バンド系を聴くことが多かったですね。ラップも掘ると深すぎるじゃないですか? ライブハウスじゃなくてクラブでパフォーマンスして、DJと合わさってくる。リミックスもそんなに興味なかったんですけど、最近面白いなって思ってます。自分の曲に関してもそうですけど、いろんな音を入れたいなとか、私、気持ちみたいなのを大事にしたくて。ドラムとか、その楽器だけで曲を表現できないこともあるかと思って、最近のDTM系音楽だと楽器っぽくない、他のいろいろな要素の音が入ってるじゃないですか? 自分が求めていたものが、ここの世界であったぞ!と。
VETHEL そんな楽器の音、ないよみたいな音。
ナガトモユリ そうです。例えばドアを閉めるカンカンって音でもいいし、それを加工して入れられたりもする。それとストレートな音の歌が合わさったときが面白いし、、そういう音楽を教えてくれるのよ、DTMとかラップの世界が(笑)。あとやっぱり韻 ── 言葉が巧み。本もまたたくさん読んだほうがいいなって思ってたり、そういうインプットがしたかった期間に、小説とかラップ業界とかポッドキャストとかラジオとか、言葉を紡ぐ系の人たちを取り込みたい、触れたいって思って、そのときにちょうど広がった感じでしたね。

VETHEL そのラップを聴き始めた後、歌詞の書き方は変わった?
ナガトモユリ ちょっと変わりました。初めて韻を踏んでみたり(笑)。あと赤裸々ですよね。赤裸々でいいのか?って思ったけど、BUMP OF CHICKENも赤裸々だったので、なるほど通ずるところはあるぞっていうので、今絶賛楽しいです、サブスク。
VETHEL ご自分の曲のリミックスとかしたりします?
ナガトモユリ やりたいんです。
VETHEL じゃあVETHELでやりましょう! 戻ります。人生で最も耳にした曲は何でしょう?
ナガトモユリ 長渕剛さんの「巡恋歌」ですね(笑)。これはお父さんの影響で。中島美嘉さんが好きだったり、それにちょっとあの声がいいし、音楽は魂やぞって言うんで、お父さんがそういう人が好き。
VETHEL この「巡恋歌」は一生懸命聴いたというのは……
ナガトモユリ 子守歌だったんです。しかもお父さんが弾く生ライブ(笑)。私が初めてギターで弾いた曲も「巡恋歌」なんですよ。もう刷り込まれてるし、フォークソングってコードがシンプルだし。私、思ったんですけど、子守唄でこんなに聴かせてるってことは、多分お腹の中でも聞いてるんじゃないかって思ったんですね(笑)。だから「巡恋歌」が一番耳にしてたんだろうなって思いました。
VETHEL 次に大事な人にあげたい1曲は何でしょうか?
ナガトモユリ ヨルシカさん「パレード」。曲調が祝福っぽい。メロディ、音作り、コード感、開け方がそうなんですけど、2番の歌詞で「ずっと前から思ってたけど、君の指先の中には多分神様が住んでいる」っていう歌詞があって。これ、私は大事な人たちにみんな思ってる。あなたの中には神聖な神様が住んでるよってよく思うんです。本当に大事にしたいみたいなそのままでどうか、どこにいてもどうか幸せでいてほしいって思ってて、それがこの歌詞。まさにみんなに幸せをあげたいので、指先と指先をつけて「E.T.」みたいにしたい(笑)。
VETHEL そして映画終盤になってきました。エンディング=死ぬときにはどんな曲を?
ナガトモユリ それは絶対オアシスの「リヴ・フォーエヴァー」。これはかっこよすぎませんか? 葬式でも流してほしい。これ、みんな幸せじゃないですか。人が亡くなって、私がいい人生だったよって思って死にたいんですけど、これかかった瞬間、亡くなって泥の中にいたとしてもウワォー!(ガッツポーズ)って生き返るし(笑)、みんなも、お前のこと忘れねえ!ってなる。
VETHEL 最後にはどんな曲を流しますか?
ナガトモユリ haruka nakamuraさんの「春からの電話」っていうインスト曲。最後に言葉はいらないと思ったんです。大好きなんですよ、haruka nakamuraさん。どの曲でも好きで、この方の曲はメロディもいいし、楽器のチョイス、音のチョイスがいい。音数も多いわけじゃなくて、私、家の中でも流すんですけど、窓を開けてちょっとぼーっとしたいとき、考えたいとき、外の音と混じると、またこの人の曲がよくて。
VETHEL 外の音と混ざる感じ、分かります。
ナガトモユリ 分かる?やった!嬉しいです。人のザワザワした声ですら相まって、ここで生きてるんだなぁみたいに思える。渋谷とか人が多いところが苦手なので、渋谷の街を歩いているときに嫌にならない曲とか、自分がちょっと今日は気持ち強めで行きたいとか、この人たちを蹴散らしたいじゃないけど、自分がちょっとダークな主人公みたいな。そういう気持ちで歩くときもあるし、haruka nakamuraさんの曲は、渋谷の騒音みたいな雑然とした音もくみ取って日常の一部みたいにしてくれるBGMのようで。そう思います。

〈ナガトモユリ ONEMAN LIVE “IKUSA”〉
2025年8月5日(火)
渋谷 CLUB QUATTRO(〒150-0042 東京都渋谷区宇田川町32-13 4・5F)
OPEN18:00 / START19:00
オールスタンディング (一般チケット ) ¥3,800- https://eplus.jp/sf/detail/4258820001-P0030001
出演:ナガトモユリ
※別途ドリンク代がかかります。
※学生チケットご購入の方は学生証の提示をお願いいたします。お忘れの場合、差額分のお支払いが必要となります。
※PRIORITY TICKET(優先チケット)は、会場最優先入場、また終演後会場内にて、ナガトモユリ本人より当日限定特典のお渡し会を実施いたします。)

INTERVIEW & TEXT : VETHEL
PHOTO:夢見るサトシ