レコード店は、なぜいま再び語られるのか ── 世界の研究者が読み解く『レコード店の文化史』が刊行

アナログ盤回帰、独立系レコード店の再評価──。いま世界中で起きているこの動きを、単なるノスタルジーや消費トレンドとしてではなく、「場」としてのレコード店から捉え直す一冊が登場する。株式会社ディスクユニオンの出版部DU BOOKSより、研究書『レコード店の文化史』が2026年2月10日に発売される。

本書は、音楽研究、社会学、文化史、都市研究といった複数の学問領域を横断しながら、レコード店という「小さな場所」が、いかに社会や文化と深く結びついてきたのかを描き出す、世界初の本格的研究書だ。

アナログ回帰の本質を「場所」から問い直す

ヴァイナル人気の再燃やレコード店の復権は、しばしばマーケットやライフスタイルの話題として語られる。しかし本書が焦点を当てるのは、レコード店が担ってきた社会的・文化的機能そのものだ。

人が集い、音楽が共有され、価値観が交換される──レコード店は単なる販売拠点ではなく、コミュニティの核であり、都市文化の結節点だった。本書は、その役割を「場」という観点から丁寧に掘り下げていく。

世界各地のレコード店が映し出す、社会と文化の風景

収録されている事例は多彩だ。ロンドンのレゲエ・レコード店が果たした役割、ナイジェリアにおける音楽流通のインフラとしてのレコード店、パリや東京に根付いた店舗文化、さらには社会主義圏における文化政策との関係まで。

レコード店は、その土地の政治状況や若者文化、ディアスポラの歴史とも密接につながってきた。本書は、グローバルな視点からレコード店を読み解くことで、音楽が社会に根を下ろすプロセスを浮かび上がらせる。

学際的アプローチによる決定的研究書

本書の編者・執筆者には、世界各地の研究者・批評家が名を連ねる。音楽学、社会学、都市論、文化史といった領域を横断する視点は、従来の音楽書とは一線を画すものだ。

日本版の刊行にあたっては、輪島裕介(大阪大学)、南田勝也(武蔵大学/日本ポピュラー音楽学会会長)、大嶌徹(玉川大学)ら識者からの推薦コメントも寄せられており、その学術的・文化的意義の高さを物語っている。

レコード店を愛するすべての人へ

『レコード店の文化史』は、研究者や学生だけのための本ではない。レコード店に通い、棚を掘り、店主との会話や偶然の出会いを楽しんできたすべてのリスナーにとって、自分たちが立ってきた「場所」を再発見する一冊でもある。

音楽がどこで生まれ、どこで受け取られてきたのか。その問いに対し、レコード店という視点から静かに、しかし力強く応答する本書は、いま読むべき必然性を持っている。

書誌情報

書名:レコード店の文化史
副題:グローバル・ヒストリー――コミュニティ、都市、文化が交差する場所
原書:The Life, Death, and Afterlife of the Record Store: A Global History
編者:ジーナ・アーノルドほか
訳者:奥田祐士
ブックデザイン:戸塚泰雄(nu)
判型:A5判/上製
ページ数:376ページ
予価:本体4,200円+税
発売日:2026年2月10日(火)
発売元:株式会社ディスクユニオン
発行元:DU BOOKS


レコード店という「場」が持つ意味を、過去から未来へとつなぐ一冊。音楽と社会の関係を考える上で、欠かすことのできない書物となりそうだ。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!