闇のなかで鳴り始めた“光”──B Jones、新曲「Glow Up」が映し出す再生のプロセス

トランスへと踏み込む、新たなフェーズの到来

スペイン発のダンスミュージック・アイコン、B Jonesがニューシングル「Glow Up」をリリースした。名門〈Black Hole Recordings〉からの最新作となる本作は、彼女自身が追い続けてきた“よりパーソナルなサウンド”を、はっきりと形にした一曲だ。

テンポは速く、メロディはより開かれ、ピークタイムを強く意識したドライヴ感。近年Tomorrowlandのメインステージで見せてきた、あの高揚感とエネルギーを、トランス寄りのアプローチでアップデートしている。

「Glow Up」──内なる力を呼び覚ます言葉

タイトルの「Glow Up」は、単なる自己肯定や変身のスローガンではない。人生が重くのしかかる瞬間にこそ立ち上がる“内側の力”を描いた、極めて個人的なメッセージが込められている。

この楽曲が書かれたのは2025年。当時すでにB Jonesは激しい背中の痛みを抱えながら、ツアーと制作を続けていた。後に彼女は入院し、脊髄腫瘍の生検を経てリンパ腫と診断されることになるが、「Glow Up」はその“前夜”に生まれた楽曲でもある。

結果的にこの曲は、出来事を語るための作品ではなく、前へ進み続けるための“指針”のような存在になった。

音楽が支え、音楽が照らす

「Glow Upは、私にとって“内なる強さ”そのもの」
B Jonesはそう語る。

痛みと不安のなかでも、音楽を作ることは彼女にとって希望だった。言葉を書くことは、魂から直接語りかける行為であり、その正直な感情を世界と共有することだったという。

この曲が伝えるのは、「終わり」に見える瞬間が、実はより深く意味のある始まりであるかもしれない、ということ。困難に直面しても、人は変化し、立ち上がり、進み続けることができる──そんな確信が、過剰なドラマを排したクリアな高揚感として鳴り響く。

Tomorrowlandから世界へ──B Jonesという存在

DJ Mag Top 100で現在88位にランクインし、2022年にはスペイン人アーティストとして初めてTomorrowlandのメインステージに立ったB Jones。その後も彼女のキャリアは加速し続けている。

Tomorrowland Winter、Boom、ブラジル公演をはじめ、Ushuaïa、EDC Mexico、Lollapalooza Berlin、Mysteryland、Creamfields Chileなど、世界中の主要フェスティバルに名を連ねる存在だ。

ビッグルーム、トランス、テックハウスを自在に横断するDJスタイルに加え、スペイン語圏アーティストを支援するレーベル/コミュニティ〈ARRYBA MUSIC〉を主宰。シーンを牽引するだけでなく、次の世代を照らすロールモデルとしての役割も担っている。

それでも、前へ──「Glow Up」が鳴らす意志

「Glow Up」は、B Jonesのキャリアにおけるスタイルの節目であり、同時に明確な意志表明でもある。
どんなに厳しい季節のなかにあっても、人は立ち上がり、変わり続けることができる。

この曲が放つエネルギーは、クラブのピークタイムを持ち上げるだけでなく、聴く者それぞれの内側にある“光”を思い出させてくれるはずだ。
それこそが、今このタイミングで「Glow Up」が鳴らされる理由なのだろう。

B Jones: Facebook | Instagram | X | Spotify

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

  • URLをコピーしました!