信仰とジャズが交差する場所へ ── ジョエル・ロス、ブルーノート5作目『Gospel Music』が描く霊的サウンドスケープ

©Jati Lindsay

現代ジャズ・シーンを象徴するヴィブラフォン奏者、ジョエル・ロスが名門ブルーノートから5作目となるニュー・アルバム『Gospel Music』を2026年1月30日にリリースする。先行シングル「Wisdom Is Eternal (for Barry Harris)」「Be Patient」はすでに配信がスタートしており、その深遠な世界観は早くも大きな注目を集めている。

聖書の物語を音楽で読み解く、ジョエル・ロスの新たな挑戦

『Gospel Music』というタイトルが示す通り、本作は聖書の物語をモチーフに、信仰や祈り、創造と救済といったテーマを音楽として再構築したアルバムだ。ライナーノーツではロス自身が各楽曲に対応する聖書の一節を引用し、音と物語が密接に結びついた構成となっている。

決して説教的ではなく、むしろ静かな問いかけとして響くのが本作の特徴。霊性を帯びたメロディと即興性に富んだアンサンブルが、リスナーを内省的な時間へと導いていく。

“Good Vibes”が生み出す、支え合う音の空間

レコーディングには、ロスのレギュラー・バンドであるGood Vibesのメンバーが集結。ジョシュ・ジョンソン(as)、マリア・グランド(ts)、ジェレミー・コーレン(p)、カノア・メンデンホール(b)、ジェレミー・ダットン(ds)という現代ジャズの精鋭たちが名を連ねる。

ロスは制作過程について、「全員が互いを支え合える空間をつくることを話し合った」と語る。前作『nublues』、前々作『The Parable of the Poet』を経て到達したのは、個の主張を超えた“共鳴の音楽”。その思想はアルバム全体に静かに、しかし確かに息づいている。

ニューヨーク・ジャズの現在地を体現するヴィブラフォン奏者

1996年シカゴ生まれのジョエル・ロスは、若くしてニューヨーク・ジャズ・シーンの中核を担う存在となった。マカヤ・マクレイヴンやマーキス・ヒルらとの共演を通じて評価を高め、ブルーノートからの作品群でその表現を拡張し続けている。

ヴィブラフォンという楽器の可能性を更新しながら、ジャズの伝統と現代的感性を結び直すロス。その歩みのひとつの到達点として、『Gospel Music』は極めて重要な作品となるだろう。

静かに、しかし深く響く“ゴスペル”のかたち

『Gospel Music』は、声高に語られる信仰ではなく、音を通して共有される精神性を提示するアルバムだ。ヴィブラフォンの澄んだ響き、管楽器の祈るようなフレーズ、バンド全体で紡がれる呼吸 ── それらが重なり合い、聴く者それぞれの内側に異なる意味を立ち上げていく。

現代ジャズの現在地を知るリスナーはもちろん、静かな音楽に身を委ねたいすべての人に開かれた一枚。ジョエル・ロスは本作で、ジャズが持ちうる“祈りのかたち”を、あらためて私たちに示してみせた。

リリース情報

ジョエル・ロス『Gospel Music』
発売日:2026年1月30日
フォーマット:CD/デジタル
レーベル:Blue Note Records

https://joelross.lnk.to/GospelMusic

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