
英国アカデミー賞(BAFTA)スコットランドで主演女優賞・監督賞の二冠に輝いた映画『おくびょう鳥が歌うほうへ』が、2026年1月9日より全国公開される。主演はシアーシャ・ローナン。監督は『システム・クラッシャー』で世界的評価を受けたノラ・フィングシャイト。原作は、エイミー・リプトロットによるベストセラー回想録『THE OUTRUN』だ。
本作は、大都会で自分を見失った生物学者が、スコットランド・オークニー諸島という厳しくも美しい自然の中で「再び生き直す」過程を描く、静かで力強い再生の物語である。
三人の女性が紡いだ“距離”という創造性
今回解禁されたのは、主演・プロデュースを兼任したシアーシャ・ローナン、監督ノラ・フィングシャイト、そして原作者であり脚本にも参加したエイミー・リプトロットによる鼎談インタビューと映像。
興味深いのは、映画化にあたり主人公の名前が原作者本人の「エイミー」から「ロナ」へ変更された点だ。
これは事実から距離を取るためではなく、むしろ“自由に想像するための余白”を生むための選択だったという。
エイミー・リプトロットは「ロナという人物は、もはや私個人ではなく、三人の共同作業の結晶になった」と語り、シアーシャ・ローナンも「健全な距離があったからこそ、自分自身の真実として役を生きられた」と振り返る。
「好かれない女性」を演じる勇気
ロナは決して理想的な主人公ではない。利己的で、曖昧で、自己破壊的。観る者にとって共感しづらい瞬間も多い。
それでもシアーシャ・ローナンは、この役を「解放だった」と語る。完璧なヒロインではなく、醜さや弱さを抱えた人間を、真正面から演じること。その正直さこそが、本作の最も強い魅力だ。
「欠点のない女性像より、ずっとリアルで共感できる。私たち自身が、そういう存在だから」
彼女の言葉は、映画そのものの姿勢を端的に表している。



自然と身体、そして“回復”の映画
『おくびょう鳥が歌うほうへ』は、「依存」というテーマを扱いながらも、説教的にはならない。
代わりに描かれるのは、自然と向き合い、身体の感覚を取り戻し、自分自身と対話する時間だ。
この世界観と呼応するかたちで、渋谷のSHIBUYA PUBLISHING & BOOKSELLERSでは、<「依存」から「回復・ケア」へ>をテーマにした選書フェアも開催される。
映画を観たあとに、もう一歩深く考えるための“入口”として機能するだろう。
静かだが、確かに心を揺らす一本
ノラ・フィングシャイト監督の繊細な演出、オークニー諸島の圧倒的な自然描写、そしてシアーシャ・ローナンのキャリア最高峰とも言える演技。
それらが結実した本作は、大きな声で何かを主張する映画ではない。
しかし、観終えたあと、確実に心の奥に残る。
疲れたとき、迷ったとき、「それでも生きていく」という感覚をそっと差し出してくれる映画だ。


『おくびょう鳥が歌うほうへ』
監督:ノラ・フィングシャイト 脚本:ノラ・フィングシャイト、エイミー・リプトロット
脚色:エイミー・リプトロット、ノラ・フィングシャイト、デイジー・ルイス 原作:THE OUTRUN(エイミー・リプトロット著)
出演:シアーシャ・ローナン、パーパ・エッシードゥ、ナビル・エルーアハビ、イーズカ・ホイル、ローレン・ライル、サスキア・リーヴス、スティーヴン・ディレイン
撮影:ユヌス・ロイ・イメール 編集:シュテファン・ベヒンガー 音楽:ジョン・ギュルトラー、ヤン・ミゼッレ 美術:アンディ・ドラモンド
キャスティング:キャロライン・スチュワート、カリーン・クローフォード 衣装:グレース・スネル エグゼクティブ・プロデューサー:クラウディア・ユセフ、キーラン・ハニガン、マリア・ローガン、アン・シーハン、ルアン・ガウアー、ジョージ・ハミルトン、ジェームズ・ピュー、ヤニナ・フィルスマイアー プロデューサー:サラ・ブロックルハースト、ドミニク・ノリス、ジャック・ロウデン、シアーシャ・ローナン 共同プロデューサー:ジョナス・ウェイドマン、ジェイコブ・D・ウェイドマン、シリン・ハートマン
提供:ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント 配給:東映ビデオ 【2024年/イギリス・ドイツ/原題:THE OUTRUN/シネマスコープ/118分/映倫区分:G】
公式サイト :http://www.outrun2026.com 公式X :@okubyoudori01
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