デヴィン・ワイルド、硬質な未来へ ── 新EP『Among The Noise』が切り開くハードダンスの最前線

ハードスタイルの“神童”が放つ、最も大胆な一歩

オランダ出身のハードスタイル・プロデューサー、デヴィン・ワイルドが、キャリア史上もっともアグレッシブかつ実験的なEP『Among The Noise』を11月28日にSCANTRAXXからリリースする。本作はハードスタイルとハードテクノの境界線を切り裂くように進む4曲で構成され、これまでの彼が築いてきたメロディックな美学と、より剥き出しのインダストリアルな衝動が衝突する作品である。

8歳で芽生えた衝動から、シーン最前線へ

本名Dion Mons。幼い頃に“ハードなビート”に魅せられ、9歳で制作を始めたという逸話は有名である。10代の大半をサウンドデザインに捧げ、独自のメロディック・ハードスタイルを練り上げた彼は、2015年の「Into The Night」で鮮烈なデビューを果たした。その後、「Children Of The Sun」「Our Tribe」などのアンセム、Sub Zero Projectとの「Meltdown」「DSTNY」などの話題曲を次々と発表し、世界的な支持を獲得する。

Headhunterz、Noisecontrollers、Hardwellなどトップ層からの厚いサポートを受け、Defqon.1、Decibel Outdoor、Q-BASE、Intents Festivalなど名だたるフェスのステージを制覇。日本やアジア各国にも上陸し、ハードスタイルの魅力を広く届けてきた。

EP『Among The Noise』が描く、新たな“衝突の美学”

本作は既発曲「Chaos (Always Comes) feat. Nathalie Blue」「Dance With Madness」「Hit Back」を含む4曲で構成され、これまで数ヶ月にわたり点描のように提示されてきた作品群が、ついにひとつの物語として立ち上がる。

特に新曲「Silent (Left The System)」は、インダストリアルな質感とハードテクノ的アタックが際立つ、彼の新境地ともいえるトラックである。冷たく鋭い硬質な音像の中にも、Devin Wildらしい緊張と解放のメロディが息づき、EP全体の物語性を強固にする。

シネマティックなイントロ/アウトロを含めた構成は、まるでひとつの旅路のように聴き手を引き込み、メロディックな緊張とアンダーグラウンドのエネルギーが絶えずぶつかり合う。これは、ハードダンスの“実験的領域”を牽引する彼にしか作れない世界観である。

“常に一歩先を行く”アーティスト

デヴィン・ワイルドは、ハードスタイルの枠を拡張し続ける最重要アーティストのひとりである。他ジャンルの語法を臆せず取り込みながら、自身のメロディックな設計思想を失わないことが、彼の最大の強みだ。『Among The Noise』は、その姿勢が最も明確な形で表れた作品であり、ハードダンスの未来を照らす指標となるだろう。

リリース情報

Devin Wild –『Among The Noise』
2024年11月28日 / SCANTRAXX

▼Inflyte
https://inflyteapp.com/pml/135776/adcbc736

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