
トラウマ映画の金字塔が現代に突きつけるもの
ダーレン・アロノフスキーの初期代表作『レクイエム・フォー・ドリーム』が、待望の4Kリマスターでスクリーンに帰ってくる。『ブラック・スワン』『ザ・ホエール』で知られる鬼才が、そのキャリア初期に放った衝撃作は、2000年の公開から四半世紀が経った今も“心を砕く映画”として語り継がれている。イギリスの映画誌「EMPIRE」が選ぶ“落ち込む映画”第1位、Taste of Cinemaによる“心が砕ける傑作ベスト20”第1位。誰もが一度は聞いたことのある“トラウマ映画”の代名詞が、より鮮烈に、より残酷に再臨する。
欲望が加速し、4人は底なしの地獄へ
舞台はニューヨーク・コニーアイランド。ダイエットに固執しテレビ出演を夢見るサラ(エレン・バースティン)、恋人マリオン(ジェニファー・コネリー)との未来を描きながらドラッグ売買に足を踏み入れるハリー(ジャレッド・レト)、そして一発逆転を狙うタイロン(マーロン・ウェイアンズ)。
“幸福への近道”のつもりだった選択が、やがて4人をじわじわと追い詰めていく。今回解禁された予告編では、夢を語り合う柔らかな時間から一転、札束、薬物、膨張する瞳孔が画面を支配し、妄想と現実の境界が崩れていく瞬間が切り取られる。
背景音楽は、アロノフスキー作品には欠かせないクリント・マンセルの名フレーズ。チェロの旋律が耳にこびりつき、いよいよ作品が“帰ってきた”ことを告げる。
ポスターは“瞳孔”を全面に──絶望の入口を象徴
解禁されたポスターには、劇中で重要なモチーフとなる“瞳孔”が大きく配置されている。それは覚醒の瞬間なのか、あるいは奈落の入口なのか。キャッチコピー「あの絶望が、よみがえる」とともに、朦朧としたハリーとマリオンの姿が配置され、作品のすべてを象徴するような不穏さを漂わせる。
中毒という“現代性”──時代を越えて突き刺さるテーマ
『レクイエム・フォー・ドリーム』がいま再び必要とされる理由――それは、作品が扱う“中毒”というテーマの普遍性だ。
薬物依存を描いた作品であると同時に、孤独、自己顕示欲、愛情への渇望……様々な欲望に飲み込まれる人間の脆さを描いた本作は、SNS時代の現在にこそ鋭く響く。日常に潜む依存の恐ろしさを、アロノフスキーは容赦なく可視化した。4Kで蘇った映像により、その残酷さと美しさは一層むき出しになる。
2026年2月6日(金)、ついに劇場公開
四半世紀を経てもなお、語り継がれ、傷を残し続ける傑作。『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』は、2026年2月6日(金)より新宿武蔵野館ほか全国順次公開。“映画体験”という言葉が本当の意味でふさわしい作品が、再び観客の心に爪痕を刻む。
『レクイエム・フォー・ドリーム 4Kリマスター』
監督:ダーレン・アロノフスキー 脚本:ヒューバート・セルビーJr.、ダーレン・アロノフスキー 原作:ヒューバート・セルビーJr.
出演:エレン・バースティン、ジャレッド・レト、ジェニファー・コネリー、マーロン・ウェイアンズ
原題:REQUIEM FOR A DREAM
2000年/アメリカ/英語/102分/カラー/ビスタ/5.1ch/字幕翻訳:髙橋彩/R15+
配給:クロックワークス © 2000 Requiem For A Dream, LLC. All Rights Reserved.
公式サイト: https://klockworx.com/movies/requiemfordream/ 公式X:@Requiem4Kjp
