
エリン・エイ、Paranoid Londonのクイン・ワーリーと共振する“ダンスへの帰還”
Hercules & Love Affairが、新EP『Someone Else Is Calling』を12月12日にStrataSonic Recordsよりリリースする。本作は2010年代以降のH&LAの軌跡でも重要な分岐点となる作品であり、最新フェーズの幕開けを象徴するタイトル曲「Someone Else Is Calling」がすでに公開されている。
ダンスフロアへの“再恋愛”を刻むアシッド・トラック
前作『In Amber』は、アンディ・バトラーがダンスカルチャーに対して抱いた違和感や距離感を土台にした、ソングライティング主体のゴシックな世界観が特徴であった。その延長では、クラブミュージックへの回帰は想像しにくかったが、新作EPはその予想を裏切り、ダンスフロアへと力強く戻ってきた姿を鮮烈に提示している。
本EPの制作は、ロンドン・アンダーグラウンドの鬼才であり、バトラーが心から敬意を寄せるParanoid London/Deciusの クイン・ワーリーとの共同プロダクション。リード曲「Someone Else Is Calling」は、肉体性のあるアシッド・ラインを軸に、アイスランドのシンガー“エリン・エイ”(Hips & Lips) のヴォーカルが新波系ディスコのスイートスポットを狙い撃つように響く。グレイス・ジョーンズの冷艶さとアリソン・モイエ(Yazoo期)の存在感を交差させたような声が、楽曲にドラマを与えている。
テーマは“自己回復”と“次のフェーズへ進む衝動”
エリンが書く歌詞は、身体的なグルーヴと呼応しながら、「自己を取り戻すこと」「新たな感覚へ向かう欲求」を反復して語る。これは、バトラー自身がニューヨークを離れベルギーへ移住した経験とも重なる。巨大フェスの均質化や商業主義を嫌って遠ざかっていたダンスカルチャーが、実際には多様性とコミュニオン(共感・共有)の場としていまだ脈打っていた——その再発見が本作のエネルギー源になっているという。
メキシコシティの“現在”を刻む映像作品
曲と同時公開されたミュージックビデオは、Tatsumi Miloriが撮影。メキシコシティの怪しくも美しいパーティシーンを切り取った映像は、抑圧的環境の中でも性とジェンダーの流動性を祝福し、ダンスフロアが持つ普遍的な解放力を描く。H&LAが初期から示し続けてきた「無差別で、身体的で、ここに生きるための音楽」という精神が、ここに再び鮮明に提示されている。
StrataSonicとの初タッグが示す新境地
EP『Someone Else Is Calling』は、ロサンゼルスを拠点とする新鋭インディペンデントレーベル StrataSonic からリリースされる。今回がH&LAとレーベルとの初タッグとなる。アンディ、エリン、クインのトリオは今後さらに作品を発表予定で、ダンスミュージックとアンダーグラウンド文化の数十年を濃縮したような新展開が期待できそうだ。
リードシングルと映像作品はすでに公開中であり、H&LAの“再始動”を真っ先に感じられる内容となっている。
▶︎ 試聴はこちら
https://orcd.co/handlsomeoneelseiscalling

北米〜欧州を巡るツアー日程
Hercules & Love Affairは11月より北米ツアーを実施中で、12月にはUK「Homobloc」、翌年2月にはベルリン公演も控える。
- 11/14 Philadelphia, PA – Union Transfer
- 11/15 New York, NY – Webster Hall
- 11/16 Boston, MA – Royale
- 11/18 Washington, D.C. – 9:30 Club
- 11/19 Columbus, OH – Newport Music Hall
- 11/21 Fort Worth, TX – Tannahill’s Tavern & Music Hall
- 11/22 Houston, TX – Warehouse Live
- 11/23 Austin, TX – Emo’s
- 11/26 San Diego, CA – The Observatory North Park
- 11/28 Los Angeles, CA – The Fonda Theatre
- 12/6 Manchester, UK – Homobloc
- 2/14 Berlin, Germany – Astra
